非・現実奇記
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男「そんな‥そんな…」
嶺川「信じられないなら外を見てきてもいいわ。ただし、外で昆虫達に襲われても知らないわよ」
男「いや、いい。ここに来るまでたくさんのモノを見てきた」
嶺川「そう‥」
男「それより、他に生き残ってる人はいないのか?」
嶺川「この付近には‥あまりいないわね。昆虫達と戦える狩人が何人かたまに訪れるわね」
男「狩人‥。そういえば、食糧はどうしてるんだ?その狩人が運んできてくれるのか?」
嶺川「必要ないのよ」
男「え?」
嶺川「実はね、私達も放射能の影響でお腹が空かなくなったの。性欲も睡眠欲も無いのよ」
男「そんな‥」
嶺川「さっき言った狩人達も、口寂しくて会話しに来るだけよ」
男「でも、何も変異してないように見えるけど‥」
嶺川「私はね。私は幸い姿に変異は無かったけど、他の人達は怪物化したり、腕が増えたり片足が腐り落ちた人もいるわ」
男「うわあ…」
嶺川「あなたは自分に違和感を感じない?」
男「俺は…わからない。何もわからない」
嶺川「あなた、あの極寒の中で、スウェットとサンダルでここまで歩いてきたわね」
男「そういえば…」
嶺川「なぜ、どこも凍傷してないのかしら?」
男「!?」
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