パラレル
ジン君が病弱
ちっちゃいジンバン



病弱でなかなか外に出られず、友達がいなかったジンに祖父から与えられたのは一体のLBX。
確か祖父はジ・エンペラーと言っていた。
祖父の知り合いがジンの為に作ってくれたものらしい。
一応CCMも与えられたが、病院内で操作することもできないので今日も病室で一人眺めていた。

「それ、君のLBX?」

突然掛けられた声にジンは一度エンペラーから目を離す。いつの間に紛れ込んできたのだろうか、キラキラと目を輝かせながらエンペラーを見る自分と同じくらいの子供がいた。

「誰?」

迷子だろうか。

「俺は山野バン!」

元気な声で逆に「君は?」と返されたので、それに応えるかのようにジンは自分の名を呟いた。

「海道ジン…」




バンは母親の知り合いのお見舞いに来たらしい。
一人で遊ぶにも飽きてしまい、病院内を散策しているうちにジンのところに迷い込んできたみたいである。


「じゃあジンはもう何年も入院してるのか」
「手術をすれば治るみたいなんだ。でも…」

ぎゅっとシーツを握り締める。正直、幼いジンには怖かった。

「そうだ!ジンの病気が治ったら俺とLBXでバトルしよ!」
「でも君はLBXを持ってなかったんじゃ…」

母親がなかなか許してくれず、周りは皆持っているのに自分だけ持っていないと言っていた。

「あ…そうだった!でも俺も自分でお小遣い貯めてLBXが手に入るよう頑張るからジンも手術頑張って!」

バンの言葉にジンはいつの間にかこくりと頷いていた。
それを見たバンは無邪気な笑顔を見せて、約束だよと指切りをした。

「バン!どこにいるの」
「あ、母さん!じゃあね」
「あ…」

廊下の方からバンの母親の声が聞こえるとバンはジンに手を振り、出て行ってしまった。

静まり返った病室の中でジンは小指を見る。

「約束だよ、バン君」


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