2.



木々の生えた林を抜けると白塗りの別荘が見えた。近くには川が流れていた。

「あっちに川があるわ、行って見ましょ」
「おい、アミ荷物はどうするんだよ」

カズはアミの分の荷物を持ちながら後を追う。

「魚が釣れるかもな、おい行くぞ仙道」
「ったく、しょうがないねぇお前等は」

アミ達は先に川の方へと向かった。それを後ろから見ていたバンはアミ達が向かっていった方向へジンを誘う。

「ジン、俺たちもアミたちのところに行ってみよう」
「そうだね、バン君」

ジンは一歩踏み出したが、突然来た妙な違和感に足を止めた。


ねぇ、彼はどんな味だろう。
おいしそう。
ぐちゃぐちゃに犯したい、バン君の泣き叫ぶ顔はどんな感じだろうね。

早くおいで、お前は僕の…


「っ、やめろ!」
「ジン、どうした?」

ジンの声にバンは振り向き、彼の元に戻る。ジンの息は荒く、顔は真っ青だった。

「いやなんでもない」
「でも…」

明らかに異常なジンをバンは不安げに見る。

「そうだ、バン君」
「なに、ジン」

急にジンは服のポケットに手を入れ、なにかを取り出した。

「これあげる」
「御守り?」
「おじいさまに貰った魔除けだよ。この辺は昔子供が神隠しにあったり、変な気に当てられることが多いらしいから」
「でも、なんで俺に…?」
「バン君が一番危なっかしいからね」
「え、俺そんなに危なっかしいかな」

危なっかしいよ、見てられないくらいにとジンは困ったような表情を浮かべた。

「気を付けて、取り込まれやすいからね、僕たち“子供”は」


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