5. バン視点 「一応断ったんだけど、今日はダメだった」 「無理矢理渡されるところ見てたよ。いつもありがとうバン君」 ジンは俺の手にあった綺麗にラッピングされた小包を器用に奪い去り、鞄の中に入れた。捨てずにちゃんと受け取るところが律義だと思う。 女の子たちも俺なんかに通さないで直接ジンに渡せばいいに。 「なっ、見てたなら助け舟ぐらい出せよ」 「あそこで僕が出てきても面倒なことになっただけさ」 「こ、こいつ!」 なんか腹が立つ。 お前のせいで俺は女の子たちからのプレゼント受け渡しの窓口係になってるのに。 最近のジンは意地悪な気がする。 「でも返事はノーだけどね」 「いつもそうだけど、ジンは好きな子いないのか?こんなにモテるのに」 とにかくジンはモテる。 あのオタピンクも今でもジンに夢中だ。 この間アキハバラで偶然会った時、制服姿のジンに物凄い興奮してた。そして俺は何故か可愛いって言われた。ジンにも言われて、なんか酷く落ち込んだ。俺、男なんだけどな。 思わず溜め息をつくとジンはただ前だけを見据えて言った。 「僕のことを好きになってくれる人は一人だけでいい」 「?」 (バン君、君だよ) |