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▼ 友達以上恋人未満。




*中2



精市は美しい。
男の俺からみてもそう思うし、事実。この美しさに幾人の人が虜になったのかはこの俺でも定かではない。
最近では、男からも好かれるようになったと精市は言っていたな。

現に今、目の前で精市に話しかけている男は、精市に対し下心を抱いている確率、99%。



「えっと..今度幸村君にテニスを教えて欲しいんだけど..」



「ふふ、いいよ。手加減はしないけどね。」




そう精市が微笑むと隣の男は顔を赤らめ嬉しそうに去っていった。やめておけ、...精市がどんなテニスをするかも知らないから迂闊にそんなことが言えるんだ。




「やはり精市は好意を寄せられやすいな。」



「何を言うか。そういう蓮二こそ」



「俺は男に恋されたことはないぞ」



それはあんまり嬉しくないよ、と精市は苦笑した。






***




「と、いうことがあった。」




部活前。弦一郎と二人きりで準備をする機会があったため、淡々と俺は今日あった出来事を弦一郎に伝えた。それは友人同士での普通の会話であり、特に、意図はなかったが、弦一郎の口からはなかなか興味深い答えが返ってきた。




「幸村が男と付き合うとしても。釣り合うような男は俺ぐらいではないか。」




あまりの衝撃に持っていたテニスボールの箱が手から落ちる




「蓮二。どうした」



「弦一郎..お前はそんなに過剰な人間だったか。」



「...そうゆうわけではないが。精市と同じくらいテニスが強く、かつ、男らしい人間はそうそういないと思うのだが」



俺が落としてしまったテニスボールをせっせと広い集めながら話を続ける。




「なるほど…、弦一郎は精市が好きなのか」



「なっ..違う!!しかし」



「しかし。なんだ」



「...他の男にとられるくらいなら、自分のが幸村に釣り合う自信はある。」



弦一郎は耳までをも赤く染めぼそりと呟いた。好きでもないのならそう他人と比較する必要はあるまいと思ったが、それはあえて言わなかった。これから面白いことになりそうだと、そんな直感が頭をよぎったからだ。






「テニスが強くて、かつ、男らしい人間といったか。1人、忘れているのではないか。」




「...?誰だ」



「弦一郎の、目の前にいるじゃないか。」




散らばったテニスボールを集め終わり、俺はその場を立ち去ろうとする。




「どういう意味だ、蓮二は、」



「さあな。弦一郎、助かったぞ。」





おい!蓮二!という声が響いたが振り向いてはやらない。鞄から一冊のノートを取り出せば弦一郎のデータには精市という単語が書き記されていくのだった。




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