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strawberry blast


大好きな先輩と2人きりでお昼を食べられるまであと10分。
想いを告げようと決心してから約半年。

ついに、ついにこの時がやってきたんだ

お腹が鳴っても気にならない
朝から授業の内容は全く頭に入っておらず、俺の脳内は幸村部長でいっぱいだった。
二人きりでご飯を食べるのは初めての事であり、ボディーガードのように毎日そばにいる2人をついに追い払うことが出来たのだ。


授業の終わりを告げるチャイムが教室に響き渡る。先生が話を続けるなか、生徒達は教科書を机に入れお弁当を食べる準備を始めた。もちろん俺も同じで。先輩がくるのが待ちきれず、廊下に出てそわそわと心を躍らせていた





ざわざわと周りが賑わってきたと同時に、俺の大好きな先輩が手を振ってこちらに向かってくるのが見えた


「赤也!すまない遅れて」


走ってきてくれたのだろうか、綺麗な髪は乱れて制服も少しダボッとしている。


「そんな急いで来なくても良かったんスよ?」


「ふふふ、だってそわそわしてる赤也が見えたから」


…見られてたのか。
相変わらずの柔らかい笑顔で微笑むと、周りで俺達の様子を見ていた女子達が声を上げはじめた。綺麗だしかっこいいし、全国優勝へ導いたテニス部部長…そんな誰もが憧れる三年生がいるんだから騒がしくなるのも無理はない。きっと女の子から見たら理想の王子様なんだろうな。まぁ幸村部長は俺のたった一人のお姫様だけど!



「お腹減ったよね?今日は天気いいし、屋上にでも行こうか」


そう言うと幸村部長は俺の手を引っ張り早足で階段を上っていった




*







晴れた空に、空腹を満たす手作り弁当。そして隣には恋い焦がれた愛しの幸村部長



赤也と二人きりなんて初めてだねー、と綺麗に丸められた卵焼きを口に頬張りながら幸村部長は話しだした


普段はどっかの誰かさん(達)がお姫様を守ろうと必死ですから二人きりにさせてもらえないんスよ。

なんて心の中で呟く


隣で幸せそうにご飯を食べてる部長を見てたら、そんなこともうどうでもよくなってくるんだけど。



「あの!ゆ、幸村部長のお弁当美味しそうですね!」


「ふふ、俺の手作り弁当だもん」


「ええ!?あの、もらっても..」


「いいよー、はいっ」




幸せすぎる・・・・!
弁当箱に詰められたうちの一つを箸で掴むと、俺の口の前に持ってきてくれた。たったそれだけで人生最大の幸せを感じられるなんて、自分でも単純な奴だと思う

今ならワカメとか言われても絶対怒んないよ俺



「ほら、口開けて?」


「う、うっス!」


「はいっ…あーん?」


顎が外れるんじゃないかってくらい大きな口を開けて、そのまま卵焼きをぱくり。


「美味しい?」


不安そうに下から覗き込む幸村部長。ちょうどアングル的に上目遣いになるからたまらなく可愛い。
ほんのりと甘い味が口のなかいっぱいに広がっていく



「めっちゃ美味いっス部長〜!」


そんで幸村部長がものすごく可愛いっす!ってなことは言わないけど



「あっ、部長は何か欲しいものありますか?」


「俺は…

苺が欲しい」


ふいに隣を見ると、真っ赤に染まる苺を指差してキラキラと目を輝かせている部長が。


一応俺の好物だけど、苺は1つしか無いから譲ろうか…いや、でもただ譲るだけじゃ勿体ないよなあ?




イチゴを取りヘタを除くとそのまま部長の口へ投げこむ



「赤也有り難う」


「いえいえー!でも、俺も食べたかったなあなんて..」


シュンとして答えると部長は一つしかない苺を食べてしまったことに対して少し申し訳なさそうな素振りをみせた。



「ね、だから幸村部長、俺にも分けて..?」




幸村部長と向き合う態勢になると肩に手をかけてそのままゆっくりと唇を近づけた


「ー…赤也?」




ああ、なんてこんな綺麗なんだろう

長い睫毛に大きな瞳
白い肌には吹き出物なんて一切ない、中学生とは思えない美肌だと思う
状況がイマイチ飲み込めていない部長はポカンと口を開いて訳が分からないという顔をしている

至近距離になるともう頭の中は目の前の人でいっぱいでー..。




チュ



唇が触れ合った瞬間。
自分が幸村という男に全てを侵食されるような、そんな感覚に溺れた。少し舌を入れれば先ほどのとろけた苺と幸村部長の舌が絡まって、俺が大変なことになりそう。



「んっ、赤..」





幸村部長の声でふと我に帰る。




「ゆゆゆゆゆ幸村部長…!ごめんなさい俺っ」


てか最初俺からあげるって言ったのにそもそもこんなのおかしいよな!?なんで唇奪っちゃうんですかって話だよな!?



「赤也どうし」



「あーあーあー!俺用事思い出しちゃいました幸村部長すみませんおれいってきます!ー!!」


「」




言い訳にならないような言い訳を残しその場所からダッシュで離れ階段を駆け下りトイレへ駆けこむ。



俺、今、何を..



幸村部長のキスした瞬間を思い出す。...なんかちょっとエロかった。



告白しようと思っていたのに。
キスなんて、するつもりなかったのに。
ふと思いつきであんなことをしてしまうなんて。




考えれば考えるほど顔が熱くなって、しばらくこのトキメキは収まりそうになかった。





口づけた瞬間、甘い香が唇の中を漂った
苺の、甘い、甘い

strawberry blast


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