藍色の美しい髪を持った少年から、赤色の麗しい血が流れる
そう
ずっとこうしてみたかったんだ
「はあ、はぁやっ…仁王!」
新月の夜と一人きりの獲物。
この機会をずっと待っていたのかもしれない
今日は雨が降っていたため
新月とは限らないのだが
そんなことはどうでもいい。
ベッドに押し倒され、手錠をかけられているのにかかわらず抵抗を示す幸村。だが今の俺には無効な抵抗であり、ただの兎が涙しているような姿だった。どこで切ったのかはわからないが唇の端から血が流れている。
「幸村、綺麗ぜよ」
「っ、仁王
こんなことは…」
「お前さんがお菓子くれなかったから、これは悪戯じゃ」
ハロウィンの日にお菓子を持ってない彼が悪のせいだと理由をつけ、そのまま幸村をホテルにつれこんだ。
ネクタイを外し、首筋をさらけだすと、これから「吸う」であろう場所を舌でなぞっていく。静かに反応を示す彼はとてもいやらしい。濡れた髪に、ワイシャツから透けた白い肌、どれをとっても美しいという言葉しか出てこなかった
「ふ・・仁王っ、」
「大丈夫じゃ。お前さんのバージンを奪ったりはせんよ
血を貰うだけじゃ」
耳元で囁き、唇を首に宛がうと
思いきり齒を差し込んだのだった
(( 吸血鬼の美しい夜 ))
(お菓子はあいにく持ってないぜよ、吸血鬼さん)
(ならば、ただで帰すわけにはいかないな)
(…悪戯するんか?)
(では、お前の身体を
少しばかり借りようか)