第2話〜早速登場鍛冶師ヨミ

 

ジークフリートside



 俺たちは、久しぶりの休日にカルナとライト、フラウを連れて街を歩いていた。ここにいる四人とも、人付き合いが悪い方ではない。まず、俺とカルナに関してはまず断らない。断ったら大雨どころか槍が降ってくるだろう。



 「何しに行くのだ」

 「まずは、カルナとジークフリートのコスチュームが出来たっていうから、取りに来た」

 「コスチューム?」

 「いつも同じだろ?」



 意識して同じなのである。まあ、俺は自由に変えられないこともないが、カルナに関してはどうやって着るのか、という疑問が湧く。
 そして、コスチュームを繕ってくれたという店に来た。俺のは、黒と白のコートだった。羽織るだけでいいので楽だ。



 「カルナは?」

 「全身コーデだから」



 試着室からカルナが現れた。とうとう人間らしさが消えた気がしたが。民族衣装のようだ。黄金の腕環や、足首にも、腕はシースルーだが緋色の長袖。腹は何故か露出し、全体的に膨らんだ真紅色のズボンに、留めの部分には金色の装飾とレース素材で出来た飾り。とにかく、細い、白い、神秘的。神秘を通り越して神々しささえ感じる始末。同性の目から見ても美しかった。衣装の赤が、白い彼を引き立てる。



 「護りに欠けるのではないか?」

 「日輪よ、具足となれを透明にした状態で纏っているので問題ない。どうだ?」

 「すっごく、似合う。これから基本装備それにしよう」



 腹も護られてはいるが、衝撃は受けるらしい。カルナが言っていた。同じ修族とは思えない。



 「父上が似たようなものを着ていたな」



 神が着ていた服とよく似ている。それはつまり、息子が神の格好をしているということか。もはや、この世にいていいのかと思うレベルだ。



 「俺の国では、神聖な衣装だ。こんなに肌を出したことはない」



 いつもは何故か胸元の赤い宝石を隠しているが、今はそれも露出している。この宝石は、彼が太陽神の子である証だ。それが剥き出しの状態というのは、いかがなものか



「カルナ、神さまみたい」



間違っていない。半分神の血が流れているのだから。死後は太陽になったというから、ほぼ神のようなものだ。



「この後はどこか行く予定ある?」

「オレはないが」

「カルナいつも早朝にギルドから出るけど、何かあるの?」

「あぁ、習慣でな」



習慣?カルナはいつもいつの間にか起きていて、いつの間にか消えており、いつの間にか帰って来ている。神出鬼没とはこのことだ。



「沐浴だ」

「水浴びってことか?」

「まぁ、そのようなものだな。太陽が昇る頃に起きるので、お前たちも起きられるなら、一緒に行っても構わない」

「頑張って起きる」



おそらく、彼が行っていることは沐浴だけではないだろう。非凡な才能を持っていながら、彼はストイックに毎日槍を振っている。まるで踊るように。その姿に戦っている最中でも魅了された。この世にあのような美しい戦いをする者がいるのかと。



「では俺も付き合おう。特訓に」

「む・・・相手をしてくれるのか?」

「久しぶりにそれもいいな」



ルーマニアでの聖杯戦争の、あの大破された状況を忘れた訳では無い。あれは、どうやらガス会社の爆発ということになっているらしい。因みに、あのクレーターに関しては、隕石が落ちたことになっている。ランクAの炎を78発撃ってきたのだ。この男は。



「まぁ、手加減はせねばな」

「特にカルナは」



俺の宝具は対城宝具なのでまだマシだが、カルナの宝具は対国宝具だ。つまり、一度撃つだけで下手すれば国が滅びるのだ。カルナは生前弓を扱っていたという。その弓だけで三界を制覇できるとまで言わしめたという。最強格であるアルジュナや、神であるクリシュナ二人がかりで挑んでも倒せないと言わせた。結果、インドラの陰謀により鎧が奪われ、あらゆる呪いをかけられた末に死んだ。それだけの力がありながら、結局全力を出せずに死んでしまったのだ。
なんとなく、それは今も変わっていない気がする。聖杯戦争のときはマスターからの魔力供給によって戦えた。しかし、カルナの魔力喰らいはマスターの魔力を干上がらせ、死なせてしまう。その時点で本気は出せない。今も、自分の魔力で賄うために、本気を出せない。生前ならば魔力などほとんど必要すらなかったというのに。



「沐浴というのは、身体を清める行為なのか?」

「そうだ」



入浴のようなものなのだろうか。清めずとも綺麗だと思うが。父の下で暮らしているのだから、穢れた姿を見せる訳にはいかない、という父の顔に泥を塗らないことを彼は信念でもって貫いていた。今も昔もだ。



「そういえば、カルナ匂い変わった?なんか香水つけてる?」

「石鹸ではないか。最近木蓮の花の石鹸を貰ってな。それを使っている」



確かにいい匂いがする。俺は変態か?



「戦う前などは特に。オレにとって戦場とは特別な場所。そこにはそこだけの法《ダルマ》があり、侵してはならない暗黙の了解があるのだ」



フラウとライトが意味をわかっていなさそうだ。カルナは時々、戦場精神論的なことを言う。こんな容姿ながら、生粋の戦士だから





 

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