ぱちり。目をあけると白い天井と人影がみえる、話し声も聞こえる。
何度かぱちぱちと瞬きをすれば人影の内一人が柳だとわかった。
「やなぎ」
「…名前!」
私が起きた途端柳はぼそぼそとした話し声を止めものすごい勢いで私の手を掴んだ。大げさだよ、柳
「まさか健康だけが取り柄の名前が倒れるとは思わなかったな」
「幸村、それは言い過ぎだぞ」
「やだなあ冗談だよ」
柳の他にも幸村や真田が居たらしい。冗談にも聞こえないやり取りを聞き、ひどいよと言いながら起き上がれば幸村は元気そうで何よりと私の頭を撫でた。
そういえばさっきまで身体に力が入らなかったけど今はバリバリ動かせる。身体を慣らすために腕をぐるぐると回せば近くにいた真田に当たった。ごめん真田

どうやら私は日射病だったらしく、しょっぱめの水をやたら飲まされたりいろんなとこをタオルで冷やされたりなどしてどうにか帰れるようになったのは日がとっぷりと沈んだ頃だった。保健室の先生は保護者の人に迎えにきてもらいなさいと言っていたが、柳が「俺と名前は家が近いので」と言ってくれたので送ってもらうことになったのだ。ちなみに柳の家と私の家は正反対の方向にある。嘘なのだ
私はもちろんそれを指摘しようと口を開いたが、柳は私に黙ってろといいたげな目線を寄越したので大人しく口を閉じた。
柳曰わくわざわざ仕事で忙しい両親に迎えにきてもらうより暇な俺が家まで送った方がいいだろうとのことだ
「それに」
「それに?」
「お前が心配だからな」
そう微笑む柳に少し、ドキっとしたのは秘密である

この日いつもならとんでくるはずの説教などはなく、月明かりに照らされながらのんびりと他愛もない話をして帰った。とても、穏やかな帰り道だった
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