次の日、早朝。
ピンポンぴんぽん。無機質な機械音が響くが一向に反応なし。事前に今日も行くとメールをしたが気がついていないのだろうか
もしかしたら具合が悪い中寝ているのかもしれない
精市はああ言っていたが本当に名前が夜だけ元気になってたのか、疑問が渦巻いていた。
どうして俺には夜元気か話してくれなかったかも、気になる。
もう一度インターホンを押そうとしたとき、「柳」と俺の名を呼ぶ声がした。聞き慣れた名前の声だ
名前はまたいつものようにドアの隙間から学校へは行けないということを俺に伝え、その血色の悪い顔で家に戻ろうとする
「待ってくれ」
ドアを閉められる前につま先をさっと押し込み、手でこじ開ける。ひ、と小さな悲鳴が名前の口から漏れた
「驚かせたのならすまない。だが、聞きたいことがある」
「……お家に入って」
手短に済ますから玄関先でいいと申し出る前に、名前は俺の腕を強引に引っ張り、ドアを手早く閉めた。
名前の家の中は朝だというのに真っ暗で、まるで夜中に来ているかのようなそんな錯覚に陥る。不思議な感覚だ、俺はさっきまで日の下で歩いていたというのに。
「ねえ柳、今から私の言うこと、笑わないで聞いてくれる?
「それは、どういうことだ」
「…あの、私、私ね。朝だけが怖い。怖くなっちゃった」
朝が怖い、でも夜は平気。
「それにご飯を見てもお腹すいてるのに、食べたいって思わないの」
普通のご飯を見ても食欲が出ない。でもお腹はすいている
「でも夜は普通なんだ」
夜は動ける、夜だけは。平気。それは
「牙も長いんだ。まるで、吸血鬼みたいだと思わない?」
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