昼休み、お弁当を抱え一人でに歩く。今日はさっちゃんが委員会でいないから私は寂しくぼっち弁当なのだ
本当は適当なグループにでも入って和気あいあいと食べるべきなのだろうが、あいにく私は多人数でのお弁当は苦手だった。まあ多人数が苦手はお弁当とか以前の問題でもあるけども。

階段の踊場について誰もいないことを確認
ここ、屋上近くの踊場は屋上が封鎖されていることもあり人が来ることはあまりない。たまに誰かいる時もあるけど今日は誰もいないようだった。何だかついている
誰かいたら引き返して教室で大人しく食べるしかなかったからね

手を合わせて、お弁当の包みを開いているとコツコツ、足音が近くから聞こえてくる
誰か来たのだろうか、でも先に来たのは私だ。頑なとして動かない決意をし、相手にはすみやかに、できるなら勝手に帰ってもらわなければいけない

「あれ、名字さん」
幸村くんあなたでしたかごめんなさい今すぐ私が教室に帰ります
まだ手をつけていないお弁当をしまおうとすると幸村くんが待ったをかけた
「どうしてここに?」
「友達が委員会で一緒に食べれなくて…」
「俺も一緒。今日は真田が委員会でいないから、落ち着ける場所を探してたんだ」
幸村くんでも一人でお弁当を食べるのかと驚きつつそれなら私がこの場所を譲らないと、とあわてて立ち上がると幸村くんが私の肩を掴んで無理やり座らせた。
す、すごく力強い
「名字さんも落ち着ける場所で食べたいからここに居たんだろう?」
「う、うん」
「お互い一人だし、よければ俺と一緒に食べないかな」
「えっ」
幸村くんどうしてその発想になったの私不思議でしょうがないよ
そもそも幸村くんと一緒に食べること自体、私にとって落ち着ける行為じゃないんだけども!
譲るよと私が言っているのにもかかわらず、だめかな?と返事を聞いてくる幸村くんに私は必死に首を横にふるも、有無をいわさない目力に、私はついに頷いてしまうのだった。
さっきまでの固い決意はどこにいったんだよ、私の馬鹿!

「名字さんのお弁当豪華でおいしそう」
「これお母さんが冷凍食品詰めただけだからそうでもないよ」
「へーえ、名字さんは冷凍食品詰めのお弁当が好きなんだ」
しまった、と思った。そういえばさっき適当に答えた質問でお母さんの作ったお弁当が好きって、言っちゃったんだ
いや、その、としどろもどろになりながら言い訳を考えているとクスクス笑い声がすぐ横から聞こえてくる
「冗談だよ、冗談」
ひとしきり幸村くんは笑ったあと、こう話を続けた。なんでも私が適当に質問を答えてたのは何となくわかっていたらしい。次は真面目に返してよねと言われ、私はただ苦笑いを浮かべるしかなかった
肝心のお弁当の味は、緊張しすぎてよくわからなかったのはいうまでもない。

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