「名字さん趣味は?」
「ひ、昼寝ですかね…」
「じゃあ好きな食べ物」
「お母さんの作ったお弁当」
「なんかこれお見合いみたいだね」
それ私も思った
思ったけど言ったら負けたような気がしたので無言で反抗するもそれじゃ、と一方的な質問攻撃が始まってしまう。
私は極力無視しないようにかつ当たり障りのない答えを返して幸村くんが飽きるか授業が終わるかを待つ苦痛の時間味わっていた
私はさっき寝てたくせにまだ授業が20分残ってる事に気がつき、さらに気が重たくなる
私が気持ちをどんどん暗くしていると幸村くんは言いかけていた質問を止めて少し考えこむと
「名字さんはさあ、俺に何か質問ないの」
「えっ」
「何でもいいよ」
幸村くんファンなら喉から手が出るほど欲しいであろうこの一言を、なぜファンでも何でもない私に言ったんだ幸村くんよ。その気になればこれで女の子から金とか回収できるくらいには価値があるとは思うのだ、そのくらい熱狂的な女とは恐ろしい。
もはや幸村くんはアイドル同然であった
「じゃあ聞くけど、何で私に話しかけてくるの」
核心とも言うべきこの質問に、はたして幸村くんは何と答えるのか
いっそ暇つぶしだと素直に答えてくれたらどれほど楽になるだろう。幸村くんなら何となく、ではぐらかしてくるかもしれない
ともかくこの一言で幸村くんへの心の持ちようが変わる
幸村くんは私が待ってるのをいい事にたっぷり焦らすように時間をかけてこう言った
「名字さんに興味があるから」
何の興味ですか、とさらに聞きたかったけど幸村くんがあまりにも綺麗に笑うからそれだけで私は黙ってしまった
幸村くんの顔を間近で直視してなかったからあまり実感したことがなかったけれど、よく顔が整ってることで。
こんなに近くで微笑まれれば幸村狂いの信者が増えるのもおかしくない、きっと幸村くんは色んな女の子をこの美しい笑顔で魅了しているのだろう

「俺の顔に、何かついてるかな?」
そこで私はハッとした。幸村くんの顔をずっと見つめていたのだ、慌てて何でもないと目線をそらせば幸村くんは何だか納得のいかない顔をして、また質問を再開したのだった。

授業終了まで、まだ10分も残っている

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -