席替えしてたった一時間だけでもう一日分の疲れは溜まったんじゃないかってぐらいにはどっと疲れた。席くっつけるだけでここまで気力を消費させてくれる幸村くんはすごい。悪い意味で。
あの後も事あるごとに話しかけてくるし机はくっつけたままだし。周りの女子が怖いからさりげなく休み時間に離しておくよね。

私は次の時間が甘い先生であるということを時間割で確認してから机の上に突っ伏した。
疲れたというのもあるけど、もうあんな目に会うのはこりごりだ
自惚れたくはないけどこうしてれば絶対幸村くんに干渉されないだろう
これは決してフラグではないと信じて私は瞼を閉じる。

授業が始まり、しばらくしてやっとうとうとし始めた私は本格的に夢の世界へと足を踏み出しかけていた
いい感じに先生の声が心地よい。幸村くんも何もしてこないし

ちょいちょい意識を飛ばし始めたその時、何も仕掛けてこないと思われた幸村くんがアクションを起こした
ツンツンとシャーペンを私の腕にさしてる感じがする
しかも先っぽの方
「名字さん、名字さん」
声が優しい囁きなのにも関わらずツンツンとシャーペンの先を刺す行為が激しいというか正直すごく痛いです幸村くんやめてください

そろそろ私の腕が悲鳴を上げそうなので手で幸村くんのシャーペンを軽く払いのける
何も反応が無いのを見ると行動としては正解だったのかもしれない
割と眠気は覚めちゃったけどもここから寝直せばよいのだ
体制を直しつつ完全に寝る姿勢をつくった、のだが。

わき腹をつつかれて反射的にガタン、起立。
途端集中的に私に集まる視線に顔が熱くなりながらも着席。
先生にどうしたと聞かれても何でもないですとしか答えられなくて、やがて集まっていた視線は各自自由な方向に広がっていった。

ぎろりとジト目で幸村くんを睨むと幸村くんはにっこり微笑んだ
「ぎゃあ、だって。名字さんの悲鳴何か可愛いね」
ここで私の怒りの感情は華麗に通り過ぎもはや羞恥の域に達っする羽目となる
ここで幸村くんが授業はちゃんと受けないと駄目だよとか正論言ってくれれば私の怒りはまだキープできたものを…!
「寝るくらいなら俺と話そうよ」
「え、遠慮しとく」
「何で?」
からかって遊んでくるような人とお話ししたくないからです!と声を大にして言えるわけもなく眠いからかな、と笑って誤魔化せばと幸村くんもふふふと笑う
「それで何はなそっか」
振り出しに戻ったぞ!バンザイ!

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