コンビニで一悶着あった後、幸村と私は学校へ一緒に行ったが運良く誰にも会わず、学校でも一切目撃されずに無事教室に着くことができそのまま平穏に学校で過ごすことができたのだった。めでたしめでたし

と、ならないのが現実なわけで。
あのまま学校に行った私と幸村はそりゃたくさんの生徒に目撃され、友達とも鉢合わせして微妙な空気にもなった。
教室に入れば始まる男子と女子のざわめき。今ほど流されやすい性格を恨んだことはないだろう、もう泣きたくなってきた
幸村を見れば騒がれなれているのか涼しい顔をしている。青い顔をしているのは私だけなのだ、なんだかずるい
学校を早退しようか悩みながら席に座れば前の女子にトントン肩を叩かれた
「名字さんって幸村くんと付き合ってるの?」
「つ、つ、つ付き合ってるわけ…」
「まじで!名字と幸村付き合ってんのか!」
「いや違、」
「えっ名字さんと幸村くんが…!?」
否定される隙すら与えられずあっという間にクラスに広がる誤解に私はなすすべもなかった。チャンスを見つけて違うと声を張り上げても、逆に燃料を投下してしまったようではやし立てる声が大きくなっただけで、何をしても逆効果だと悟った。
あ、やばい本気で泣きそう
じんわり目頭が熱くなってきた時、突然幸村があのさあ、と口を開いた

「名字さんが違うって言ってるんだから違うに決まってるじゃん」

たった一言、この言葉だけで水を打ったようにクラスは静まり返る。しばらく誰も言葉を発しようとしなかったものの、先生が入ってきてHRを始めたことによって徐々にいつも通りに騒がしくなったのだった
「ごめん、名字さん。俺のせいで…」
「ううん私こそ、火に油を注ぐような真似してごめんね」
眉をハの字に曲げる幸村はとても申し訳無さそうにしていて、なんだか私まで申し訳なくなる。幸村は全く悪くない……わけではないな。半分くらい原因があるといっても過言じゃないと思う
いや、もしかしたら全部幸村がイケメンのせいなのかもしれないと頭の中でぐるぐる考えていれば、幸村が小さな声で私に耳打ちしてきた
「でも名字さんと一緒に行くの楽しかったよ」
「あ、ありがとう」
「次は見つからないようにまた一緒に行こうね」
「うん…えっ」
次があるんですか、幸村くん

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