部活のせいですっかり暗くなっちまった通り道を俺は歩いていた
一年だからって基礎練だけでこんな遅くなるなんてありえねーっつーの
やらせるならもっと試合させろっつの

疲れて文句すら口に出せない俺はさっさと家に帰ってゲームをやる計画を立て始める
まずは先に飯を食ってから…
ふと前をみるとスーパーからよろよろと大量の荷物を抱えた俺と同い年ぐらいの女が出てきた。
あの量は尋常じゃねえのに一人で抱えて歩いてやがんの、危なっかしいやつだな
そうやって視界に入れながら歩いている時だった
前からスマホをいじりながら歩いてた男がソイツとぶつかって、ソイツは荷物を
ぶちまける。男はというと謝るわけでもなく拾うわけでもなくさっさと通りすぎて行ってしまう。
ソイツはぶちまけた大量の荷物を一人で健気に拾いあげるが周りの人間は通り目でそれを見てるだけで助けもしない

俺だってさっさと帰りたいのにこんな状況に遭遇しちまったら一緒に拾い上げる他ないだろ
同情心が働いた俺は
黙って傍までかけより、ぶちまけた物を拾って荷物袋にいれてやる。なんだコイツ食材ばっか、家族の夕飯の材料か何かか?

すべて拾い終わればぺこりと頭を下げ、ソイツはありがとうございますと俺に言う。そして俺が持ってやってる荷物を返してほしそうに見ている
俺がこの荷物を渡せばさっさと帰ってゲームができる、だけどコイツはまたさっきみたいにふらふらとした足取りで歩いてまた荷物をぶちまけるかもしれないし、ああ、もう!

「アンタ、家どこにあんの」
「え、あ、あそこの建物っすけど」
あそこと、指さされた建物は俺でもわかるめちゃくちゃ有名な高級マンションだった。もしかしてコイツ相当な金持ちじゃね?
距離も距離だし何より俺の家の通りということもあったのでなんだかほっとけない俺はソイツの家まで荷物を仕方なく届けることを決意した。

「ぐ……ぐ、」
「無理して全部持たなくていいっすよ」

なんだか情けねえな、俺

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