柳さんとはあれ以来廊下でちょくちょく会うのだが、会うたびに何かしらお菓子を渡される。(ついでにおかしい発音も直される)この前はベビーカステラとかいうものを渡されたのだが、これまたおいしかった。ここの世界は不味い食べ物がないのかと思ってしまうくらい、ハズレがない。ベビーカステラはパサパサしててすぐ喉が乾くのが難点ではあったが。
貰ってすぐ食べきったあとの柳さんの微妙な顔は、初期の仁王さんや丸井さんで見慣れているのでもはや気にすることはない。けれどもことある事にノートに何か書き込むのはやめて欲しいと思う
というか、学校ってお菓子を持ち込んではいけないときいたのだが仁王さんも丸井さんも柳さんも持ち込んでるということは、持ってきてもいいんだな!?持ってくるぞ今度!!

「ミョウジ…それ完全に餌付けされてるぜよ」
「餌付け…」
「ミョウジチョロいからな」
ほれ、と丸井さんに投げられた飴をすかさずキャッチする。外装を剥がされて投げられたので、落ちたら大変だ。前に丸井さんが3秒ルールとかいって落ちたお菓子をすぐ拾って食べていたのだが、あれはどうかと思う。
「まるで犬じゃ、犬」
「犬じゃないっすよ」
「そうそう犬でもここまで食べ物に貪欲じゃねえよ」
「食べ物に飢えた狂犬」
「それはわかる」
「なんて失礼な」
あ、レモン味。酸っぱい
思わずきゅっと唇を噛み締めるとそれを不満と勘違いされたのかポンポン頭を叩くように撫でられた。本当に犬のように扱われている
「ミョウジ、お菓子が欲しかったらお手してみんしゃい」
「…仁王さん、わたしに食べ物をあげれば何でもやると思ってるんすか」
「実際そうだろい」
「丸井さんは黙っててほしいっす」
まあ、やるんですけどね。
仁王さんの手のひらに自分の手を軽く乗せれば、にんまりと仁王さんが満足げに笑った。
丸井さんがおいと何か色々言っていたが何とでもいうがいい、わたしは食べ物のためなら何だってする覚悟がある。仁王さんの手のうえに自分の手を重ねるだけでおいしいお菓子に巡りあえるというのであれば、安いものだ。
「ミョウジちゃんえらいのう、よしよし」
今度はわしゃわしゃと豪快に頭を撫でられ、流石にわたしも顔をしかめた。髪の毛が乱れるとかそういう理由でなく、おいしいものを味わっているときに頭を揺らされるのが大変腹が立つだけである。仁王さんはおお怖い怖いとおどけてすぐ頭から手を離してくれたので、まあいいだろう。
「ミョウジ、俺にも一個くれよ」
「絶対嫌っすね」
「ドケチ犬め…仁王」
「絶対に嫌ナリ」
「お前らばーかばーか明日遅刻しちまえ」
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -