今日の体育は、またテニスらしい。なんとなくテニスにいい思い出がないし見てる間が退屈すぎるので激しく帰りたいと思ったが、残念なことに帰ってもすることが無かったのでどのみち暇を持て余すしかないようだ。
しかし先生はわたしだけを呼び出すと、テニスをしてる場所とは別のところに連れて行き、ミョウジさんは転校生なので記録を取りますとかそういうかんじのことを言われた。一人一人運動の記録も取るのか、ここは。うーん贅沢だなあ
タン距離とかチョウ距離とかなんとなく予想はつくもののさっぱりわからないので先生にルールをきいて挑む。記録を残すのなら、本気でやりたい

***

体力測定、というものが終わったと同時に、学校特有の鐘がる。お、終わった…久しぶりに体力を全部使った、と思う。わたしは他の仲間からすれば体力は少なすぎる方なのでいつも体力回復の魔法とか、食べ物とかもらっていたなあ。懐かしい
この世界にはそういう類の物が一切無いらしく、自然に回復するのを待つのだとか。わたしの世界より文明が進んでいるのにこういうところは不便だ
「ミョウジ、お前さん体育の時どこいたんじゃ?」
「え……ええ…記録、計ってて」
「めっちゃ息切れしとるのう。どれどれ記録を拝見っ、と…」
ふうふう息を整えていると仁王さんが顔をしかめた
もしかしてあまりよくない結果だっただろうか。結構本気を出したのだが
「何じゃこの短距離タイム…化け物か、お前さん。早すぎる」
「が、頑張った、から、っす」
「…握力も俺よりある。成人男性以上あるんじゃなか」
「き、た…えた、ので」
「でも長距離と持久走は最悪じゃな」
「体力、ないのは、わかってる、っす…」
ああ、駄目だ。話してると体力戻らない。身体中が酸素を欲しいと信号をだしているので、一生懸命深呼吸を繰り返す。記録はよかったみたいで安心した。だが、やはり体力だけは見直さなければならないようだ
ふと顔を見上げると仁王さんがわたしに手を差し出していた。握手だろうか、手を軽く握るとそのまま引っ張られ、無理やり立ち上がる形になる。ちょっと仁王さん、わたしまだ、体力戻ってない

おぼつかない足元のまま、盛大にタックルする形で仁王さんの元へ倒れ込んでしまう。地味に痛い
「ミョウジちゃん、積極的じゃな」
「タックル、したくてやったわけじゃ、ない、っす」
「はー冗談も通じないんか。いいからさっさとどきんしゃい」
「え、…ええ」
ずりずりと這うように仁王さんの身体から退くようにすると、それにみかねた仁王さんがわたしを抱きあげ、立ちあがる。おお…わたしよりでかいせいか視界の眺めがいい。
「…え、ミョウジ軽…」
「運動、いっぱいしてるから」
「普段からあんなに食べてるのに、えっ」
「食べたら、運動にして、無くすタイプなん、すよ」
燃焼ってやつっすかね、と息も絶え絶えに伝えれば納得してないようで。ありえんと呟きながらゆっさゆっさとわたしの身体を揺らす。や、やめてくれ気持ち悪い
「仁王にミョウジ!次俺らのクラスがそこのグラウンドつかうからどけよ」
「ブンちゃんブンちゃんブンちゃんミョウジが軽くて気持ち悪い持ってみんしゃい」
「うわっミョウジ抱き上げながらこっち来んな」

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