この世界に来てそこそこの時は流れ、わたし、ミョウジナマエは学校の中にいた。もちろんテンコウセイとして紹介されるため、である。
センセイに連れられ扉の前に立たされたわたしはそのまま待ってなさいと言われセンセイはそのままキョウシツの中に入っていってしまった。
事前予習がばっちり済んでいるとはいえ、やはり始めて学校に入った時は驚いた。こんな綺麗な建物で勉強を教わっているなんて、ここの世界は恵まれているのだろうか

すると扉からミョウジ、入ってきなさいとセンセイが手招きしてきたのでわたしは大人しく入る
わたしがはいってきた瞬間ピタリと騒ぎが止まる。たくさんの好奇や期待のいりまじった目で見られるのは何だか恥ずかしい
「転校生のミョウジナマエさんだ。ミョウジ、何か一言」
「一言ってなんすか?」
「…よろしくとか、色々あるだろうが」
「じゃあ、よろしくお願いします」
センセイははなんだコイツとでもいいたげな視線をわたしに投げたかと思えば、めんどくさそうにあの席にすわれと促してきた。

わたしが席に座る間にもじろじろと視線はやまない。
そういえばとキョウシツを見渡してみてもキリハラさんはいないようだった。キリハラさんはいったいどこのキョウシツに勉強を習ってるんだろうか
代わりといってはアレだが、このキョウシツには一際目立つ銀色の髪の毛の姿がわたしの席の左隣に鎮座していたのだった
このキョウシツは黒とか茶色の髪の毛がやたら多いから浮いている
この世界の髪の毛の色は地味なのかと思ったらそうでもないらしい

席に座れば隣にいた女の子、ヤマダサンが親切にもこの学校を放課後に案内してくれるらしかった。テンコウセイは何も調べずとも良いのである、役得だ
ジュギョウというのがはじまってもヤマダサンは学校のことを教えてくれた。
なんでも放課後にいろいろ活動する部活、中でもテニス部が人気なんだとか。
テニス、わたしの知らない文化だ
しかし話す内容の大半がテニス部の話であり、どんなスポーツかは微塵も想像できなかった
わたしは魔物を討伐するみたいに人を倒したりする部活があればそれに入りたいと思う、この平和な世界にあるかどうかはわからないが。

そして肝心なことはいまだ聞けていない。というかヤマダサンの話す勢いがすごすぎて口すら挟ませてもらえない
「それでね、そのテニス部がね、」
「あの」
「かっこいい人だけじゃなくて強くてね、」
「テニスブとかはいいんで食堂のお話してもらえないっすかね!」
ヤマダサンは話をやっと止めてくれたが、呆気に取られた顔をぱちくりとまばたきするだけでで一向に食堂のお話をしてくれない
左横から吹き出す音が合図のように、ゲラゲラと銀髪は笑っていたが、
ヤマダさんはようやく食堂の話をしてくれた。
しかし一言二言紹介した後ヤマダサンはジュギョウに集中しはじめたのだった
銀髪はセンセイに注意されやっと笑いを収めたものの、横でひーひー言っていたのが印象的だ。

結局よくわからなかったし、ヤマダサンはそっぽを向いてしまうし、左隣の銀髪には笑って吹き出されるし、なんだか散々である
わたしの発言はどこかおかしいところでもあっただろうか
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