“か わ い そ う”



紡いだ、ふたつのくちびる。どちらの音も、お互いの鼓膜へ、微かに触れる程度。ささやかな蔑みと憐れみ。ひとりは敗北し続けてきた人間、もうひとりは勝利しか知らない人間。どちらも、この世界では異質で、どちらも心にポッカリと黒い穴が空いていた。何もないのに生きている、全てあるのに死んでいる。誰もこの虚無感を知らない、ふたりの心を解ってくれない。正反対の暗闇で蹲り、ポツン、正反対の自分が照らし合わされる。赤司征十郎と黒子テツヤしか、ふたりの瞳には映っていない。孤独の世界に赤と黒のふたりだけ、神様の手によって密閉されてしまったのは、哀しくて愛おしい運命。「(うん、さみしいよね、わかるよ)」真っ白な台本に用意されている、なけなしの希望。さあ、神様のシナリオ通り、その真っ赤な台詞を、共に叫ぶんだ。




“あ い し て あ げ る”











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