*《こばなし》にある【ぴよぴよ、恋は発達遅滞】の設定で高智さんへお誕生日プレゼント赤黒ちゃんです!!











ちらちらちらちら、どこか落ち着きのない、まんまるおめめ。日曜日の部活動も終了し、各々自由に過ごし始めた夕暮れ時。こっそりと、僕の様子を伺う影がひとり。それで盗み見てるつもりかい?バレバレだよ、テツヤ。大好きなお前の視線、誰よりも浴びて知り尽くしている僕が気付かない訳がない。いつも僕の背中を追って、てくてくぴよぴよついてくるテツヤひよこ。かわいくてかわいすぎてかわいいにもほどがある黒子テツヤに、僕は心底困り果てている。まるで親鳥のように盲信し、純粋に慕ってくれているテツヤ。そんな彼に対し、僕は迂闊に自分の思いの丈を曝け出せないのだ。きっと、僕らは好き同士、両想いだろう。むしろ、テツヤが僕に好意を抱いているのは、無関係な人間から見ても一目瞭然だ。あの子が僕をとてもとても好きなこと、日々の生活の中で十二分に感じている。しかし、悲しいかな、好きという感情は一種類ではない。事実、テツヤが向けてくる好きの意味は、僕が求めているものと全く異なる。ぴよぴよぴよぴよ、すきすきすきすき。好きは好きでも、僕のように後ろめたい下心が内包されているのではない。生まれたての赤ん坊のように無邪気な“好き”だ。鈍感無知が罪深いとは全く理解せず、それを全身で伝えてくる姿は、とっても愛らしい。葛藤に苛まれている僕の気持ちも知らないで、思う存分スキスキ攻撃。ホントにズルくて、ホントに悩ましいよ。僕は“赤司征十郎”という、ただの人間なのに。テツヤからすればどこからどうみてもただの“おかあさん”らしい。ああもうどうしてこうなった?心の中で頭を抱えて思い悩めども、所詮僕のひとり相撲。親鳥と確定されたファーストインプレッションを覆すのは、非常に困難だ。このままでいるつもりなんてサラサラないのだけれど、なんせ相手はぴよぴよ無垢な雛鳥・テツヤ。曇りないキラキラした瞳を裏切るなんて、凶悪魔王と恐れられている僕ですら、一握りの良心がズキズキ痛む。僕に母性愛を求められても、お望み通り与える事なんて出来やしないのに。だからこそ、好き好き光線を背後に飛ばされても、無反応で黙っているしかない。テツヤへの態度が冷たいと飼い犬(涼太)にキャンキャン非難されても、素直に優しく接してこれ以上母親扱いされるのは御免だった。泣く泣く心を鬼にして、僕が慈愛に満ちた母親ではない事をしっかり認識させる方策が肝要である。他の誰でもなく僕の背中についてきてくれるのは、限りなく喜ばしい。それでも僕は、テツヤに恋人として隣を歩いて欲しいと、強く強く願っている。このままじゃ、“おかあさん”のままじゃ、いけないんだ。いけないのに、



「あ、…赤司くんっ!!」

「……、…………」

「…あの、…これ、日頃の感謝の、印です……」

「……なんだ、この箱は……」

「…頑張ってケーキ作りに挑戦してみました……お口に合うかどうか、わかりませんが……」

「……僕にはケーキの上に大量のゆで卵が埋め込まれているようにしか、見えないのだが…」

「は、はい…たまごケーキを作ってみました!僕が得意なのはゆで卵オンリーなので、スポンジケーキは桃井さんに手伝ってもらったんです…」

「………そうか。……ところで、どうして誕生日でもないのに、急にこんな事を…、」

「えっ?だって、今日は5月の第二日曜日……」

「………(まさか、)」

「母の日ですよ!!おかあさん、いつもありがとうございますっ!!」



赤いカーネーションと共にプレゼントされた、母を想うテツヤのあどけない笑顔



「…、……ありがとう、テツヤ……」



天使の如き雛鳥の微笑みにあてられて、親鳥も悪くないと感じる自分がいる

参ったな、もう手遅れだったら、一体この先どうしようか




かわいいヒヨコが、
恋のハードル





(とりあえず、後ろで笑い転げるカラフルな外野共に八つ当たりがてら僕をコケにした懲罰を与えようそうしようこのやろう)







6月6日:高智さん、お誕生日おめでとうございました!!お祝いが大変遅くなりまして申し訳ありません。いつも細やかなお心遣いをありがとうございます、大好きです!!

2013.6.23 二二子










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