*20000打企画:黒子溺愛な兄・赤司とやっぱり兄が一番な弟・黒子の年が離れた兄弟赤黒ちゃん[ぽんぽんさまへ]












いつだって愛しいあの子の、ナンバーワンかつオンリーワンでありたい

その為に、出逢ってからずっと、共に暮らす日々の中、深く熱い愛情を一心に注いできたというのに



ブロークンハートとは、まさにこの事さ


「こんなに…たくさんのバニラシェイクをくださるなんて……みなさん、とっても、やさしいですね…ありがと、ございます!」


僕、赤司征十郎(16才)は、現在これでもかという程のグツグツ煮えたぎる嫉妬に狂っている。何故ならば僕の目玉を抉り取ってその穴にやさしくやさしく入れても一向に構わない位に超溺愛している弟のテツヤ(6才)が僕以外の人間共に可愛らしくデレているからだ。あれっ?お前はとっても臆病で人見知りだったはずだよね、テツヤ?家の行事で会う親戚にすら怯えているお前は、それを見兼ねた僕にいつも必ず抱っこをされているよね?僕の胸に顔を埋めて僕の腕へガッチリしがみつき、決して僕の元から離れようとしないよね?これまでずっと僕以外の人間には基本的に懐かなかったはずなのに、どうして完全に赤の他人であるコイツ等なんかへ容易く懐いているんだい??寂しがりやで甘えん坊で超絶可愛い困ったちゃんなお前は、大好きな素敵無敵完璧お兄ちゃんの部活の合宿にまでコッソリついて来る位、重度のブラコンだよね??


『せぇにぃさまと…はなれたくないです…せぇにぃさま、いなきゃ、いやです…やだやだやだ…さみしい…うぅううっ…うぇっ…ひっく、…ひっく…おねがいだから…ぼくの、そばにいてください…にぃさまぁ…、』


そう泣きじゃくりながら、昨晩は僕と一緒に眠ったよね…僕だけを必死に求めるように。そんなにも征兄様だけを愛しているならば、僕だけにそのラブリーエンジェルスマイルを向けてくれ…


そう願えども、


「…ぼく、…みなさんのこと……だいすき、です!」


ニコッ、空色の天使のきらめき笑顔が炸裂する


「きゃあああああああ!!!テツくん可愛いいいいいいっ!!!」

「エンジェルスマイルッ、エンジェルスマイルっすよ!!!テツヤっち、マジ正天使っ…!!!」

「な、なななな…なんだっ、この愛くるしい生き物はっ…何なのだよぉっ…!!!(メガネ・パリーン)」

「…なにコイツ…超かわいい、マシュマロ…?…食べちゃいたい…(じゅるり)」

「…JAPANには、こんなラブリーな子どもがいるんだな…恐れをなしたぜ……(ガクガクブルブル)」

「本当にこの子、赤司くんの弟なの?!人畜無害でとっても可愛らしいわね!信じ難い程正反対だわっ!!」

「テツゥウウウウウッ!!!テツゥううううゥゥううゥ!!!!!(狂おしい悶えによる雄叫び)」


僕のテツヤを取り囲んでいるのは、この合宿に参加している桃井・黄瀬・緑間・紫原・火神・相田・青峰達…それぞれ好き勝手に僕の弟を愛でてやがる…クソッ、奴らの姑息なバニラシェイク攻撃が効果覿面だったか。最近、バニラシェイクの過飲による健康被害を懸念し、心を鬼にしてそれを取り上げていたせいで…あのテツヤが、僕だけを慕っていたテツヤが、僕だけを大好きと笑いかけていたテツヤが、こんなにもその大好物に釣られてしまうとは…!!!悔しいを通り越してひどく悲しい……そして、とにかく、アイツ等が憎たらしいっ…!!!即刻成敗してやりたい!!!…が、しかし、僕は人生初のテツヤ・ショックによって身体がガチリと氷結して身動きが全く取れないのだ…意識を保つのがやっとな僕の死にかけブロークンハート。それをいい事にアイツらは未だにテツヤの側へ居座ったまま……あああっ!!!桃井っ!勝手に最高の被写体・天使テツヤを激写しまくるなっ!!黄瀬ェッ!!!貴様っ、ツルツルたまご肌のテツヤに頬ずりしたな…ブチ殺…、なっ、緑間のくせに、僕のテツヤの丸くてかわいい頭を撫で撫でするなっ!!その手を切り裂…あっ、コラッ、敦っ!!!なに、テツヤの指を食んで…やめろやめろやめろっ!!教育的に悪いっ!!今すぐやめ…、バカガミィィイイイッ!!!なに、ツンツンしてんだああああああっ!!!テツヤのふにふにほっぺにツンツンするなぁああ!!!あの柔らか大福餅は僕だけの至福のデザート、…相田…一心不乱にテツヤを視姦しているな…テツヤのスリーサイズや身体能力を勝手に調べるなど言語道断、それは僕だけが知っていればいい事…、……ア・ホ・み・ねぇぇええええっっ!!!このガングロザリガニセミ野郎っ!!!僕が蝶よ花よと手塩にかけて大切に育て上げたテツヤをいとも簡単にギューッと抱き締めるなんて…!!!


「…わぷっ、…あおみねく、…くるしいです……でも、…うれしい……あおみねくん、って、おにいちゃん、みたいです…」


ふざけるなっ…!!クソッ…限界だ、泣きそう……いや、泣いてたまるか…!もう許せん、皆殺しにして…、


「じゃあ、俺の弟になるか?」

「…え?」

「暴虐非道魔王赤司なんかの弟じゃなくて、俺の弟になれよ、テツ!!」

「………、………」


え、な、え?て、テツヤ…なにを、そんなに眉を顰めて悩んで…あれっ、お前のお兄ちゃんは、朝から晩までお前の事ばかりを考えて、美味しい健康的な料理を拵え、好きな絵本を沢山読み聞かせ、習い始めたバスケの練習では付きっきりでコーチをし、ぐっすり眠れるように毎晩子守唄を歌ってあげる……テツヤだけの為に一生懸命生きている征兄様しか有り得ないだろう?????


「…ぼく、…あおみね、に、なります…」


えっ、





バターーーーン!!!


あっ!!赤司っちがショックでぶっ倒れたっスー!!!あ、わ、あ、わ、真っ赤な泡を吹いているのだよおお!!!誰か救急車を呼べっ!!!赤司くんっ、赤司くんっ、しっかりしてっ…!!テツくんを残して死んじゃダメだよっ!…これは、良くないわ…覚悟をしていた方がいいわね…。赤ちん…太く短いまいう棒的な生涯だったね……ごちそうさま。








合宿所近くの病院の一室にて、大きな男と小さな男の子は、未だに甚大なショックで目を覚まさない赤い少年のベッドの傍らにいた

眉毛を下げ心配そうに見つめる男の子は、点滴が繋がれた少年の手をちっちゃな手で精一杯ぎゅうぎゅう握っている

静寂に包まれる病室の中、小さな天使の健気な姿を眺めていた色黒の男は徐に口を開く


「…なぁ、テツ。さっきの…俺の弟にならないかって言った話…一応冗談だったのに…どうして、本気の目で、青峰になるなんて、言ったんだ?」

「………、…………」


普段は最強魔王として人々から恐れられている赤い少年を失神させる程、強大な破壊力を持った男の子の言葉

それを発した意図を問えば、打ち明けるのを躊躇うように閉口しているようだった


「…なんか、理由があんだろ?」


もしかしたら、ある重大な悩みでも抱えているのかもしれない、そう考えた男はその大きな手で小さな頭を優しく撫でた

そうすると、小さなその子は一拍置いて意を決したように、その男と向き合い、


「あおみねくん、……ぼく、ゆめが、あるんです…」


誰にも話した事のない、とある秘密の夢について語り出したのだった


「…夢?それって、どんな夢なんだ?」

「…“あかし”のままだと、かなえられない……とってもたいせつなゆめなんです…」

「…、………おい、まさか…テツ…おまえ……、」

「…ぼく、…せぇにぃさまが、せかいでいちばん、だいすき……あいしてるのは、せぇにぃさまだけ……だから、いつか、…せぇにぃさま……ううん、…せぇじゅーろーさまと、けっこんしたいんです…!」



すき
すき
だいすき

ちがつながっていなくても
ちがつながっているように
あいしてくれた
やさしいにぃさま

きょうだいになってしまって
ざんねんにおもうなんて
ばちあたりでしょうか?

そもそも
かぞくでもなんでもない
ただのおんなのこに
うまれれば、よかった

そんなふうに
なやんで、かなしくて
ないたひもありました

でも、もしかしたら
ぼくがぼくでなければ
せぇにぃさまに
であうことすら
なかったのかもしれない

そうかんがえれば
ぼくはぼくでうまれて
よかったのでしょう

せぇにぃさまがいれば
しあわせなぼくで
うまれてよかったんです

あいしてます
このよでひとり
あなただけを





最上の愛よ、永遠なれ





ちゅっ

空色の小さな天使は、白いベッドに横たわる世界一の幸せ者の赤色の少年の唇へ、永遠の愛を込めたキスをひとつ落とし、ふんわりやさしく微笑んだのだった










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