*20000打企画:酒の強い赤司に付き合ってベロンベロン酔ったキセキ達が下ネタに花を咲かせる成人設定赤黒ちゃん(赤黒←キセキ)[ウテナさま]









さあ、飲んで食って酔っ払って、自分を解放しようじゃあないか


   今日は久しぶりに帝光中学時代のキセキのメンバーが全員集まる飲み会だ。二十歳を過ぎて、皆がそれぞれの道を歩んでいる現在。バスケットボールというスポーツで繋がっていたあの頃とはもう違うけれど、これまでに培ったキズナは今もしっかりと息づいている。各々の生活は目まぐるしく忙しいけれど、赤色の王様・キャプテン赤司征十郎が一言、

「×月×日×時……◯◯居酒屋に集合…みんなで宴だ」

携帯電話にメッセージを残しておけば、誰も逆らう事なんて出来ない。それに逆らうも何も、高校時代の対戦を経て和解した“友”と会える機会を与えてくれた事が皆一様に嬉しいのだ。そうして、約束の時間にとある飲み屋へ集まれば、

「久しぶりだな……涼太・真太郎・大輝・敦……」
「赤司っち、」「……赤司、」「赤司」「赤ちん……、」

店の近くにある駅前で合流したカラフルメンバーよりいち早く、貸し切った店を訪れて席の真ん中に鎮座していた赤司。凛とした声で黄色・緑色・青色・紫色の青年たちの名前を呼ぶ。おもむろに立ち上がりこちらへ歩み寄る姿には、相変わらず王者の風格が漂っている。そう思っていたのも束の間…、

「そして、テツヤ……ずっと会えなくて淋しかったよっ!!」

ガバァッ、ギュウッ!!……大男たちの背後にチョコンと佇んでいた“幻のシックスマン”こと黒子テツヤを見つけるやいなや、長年行方不明だった恋人と再会したような勢いで涙ながらに抱き締める赤司の姿に、皆は己の目を疑った。「えっ、赤司っちって、こんなキャラに成り下がったんスか……?」と普段ドン引かれ易い黄瀬が口元を引き攣らせながらドン引く程の変わり様。しかし、暑苦しい抱擁を受けた人間は涼しい顔で赤司の頭を撫でながら口を開き、

「あの、赤司くんとは朝方以来ですよね……毎日一緒に生活しているのに。本当に寂しがり屋さんですよ、君は」

ふたりだけの秘密を冷静に暴露。瞬間氷結、ピシリ、空気が凍った。実はこの赤と黒の青年は何時の間にやら内密で“同棲”なるものを始めていたらしい。その事実を初めて知った4人はそれぞれ複雑な感情が大爆発。

「え、えっ……えええええっ!?!?! ど、どーゆーことッスっ?!?! 朝方ぶりって……新婚さん、いってらっしゃい、チュー……えっ、うええええんっ!!!いや、いやッスーー!!!」
「……は、は……ま、まさかな……おまえらふたりが、バカップル新婚さん夫婦のように毎日アツアツラブラブな日々を送っているはずがあるまい…そんな夢物語、あるはずないのだよ……」
「おまっ、赤司っ……おまえもしかして、俺の居ぬ間に、テツと不倫してんのかっ?!?! 俺の嫁・テツゥゥウに手ェ出すなっ!! そーゆーの、マオトコって言うらしいんだぞーー!! このマアカシッ卑怯だぞっ!!」
「え〜赤ちん、超ずるーい……黒ちんは俺と赤ちんのモノだったはずだよね〜俺にナイショでコッソリ独り占めで甘い汁を吸いまくっていたなんてひどいよ〜!!」

   混乱する者、現実逃避する者、勘違いしている者、憤慨する者……そう、何を隠そう、赤司を含めたキセキメンバーは中学の時からずっと黒子テツヤに並々ならぬ恋心を抱いているのだ。一応、赤司と黒子は中学時代のすれ違い・高校時代の激突という紆余曲折した両片想いを通して、やっと結ばれたカップルとして認知されているのだが……、

「なんだ、お前たち。この相思相愛カップルである僕とテツヤの結婚準備生活に文句があるのかい??」

帝光バスケ部のお姫様と褒め称えられる愛しい影を簡単に諦められる訳がなく……、

「なんで、今まで黙ってたんスか?! 俺等に邪魔されるからってずっと秘密にしているなんてひどいッスよーーー!!! 赤司っちなんか、黒子っちと毎日イチャコラしているなんてズルすぎるッス!!!」
「赤司ィッ貴様ぁああああっ……!!! 俺の初恋純潔天使をやすやすと手篭めにしおってぇえええっ!!! この悪の化身めっ、許さんっ、断じて許さないのだよぉおおぉおっ!!!」
「テツゥゥウウッ……!! どうして俺に一途なお前が赤司と不倫なんかしてんだよおおぉおぉっ!!! 遠距離恋愛に嫌気がさしたのかよぉぉおおおっ!?!? だからお前も一緒にアメリカへ連れて行きたかったんだっ!!」
「……赤ちんのうらぎりもの〜俺を出し抜いて黒ちんを食べまくってるなんて、いくら赤ちんでも許さないから〜……食の恨みはジネンジョより粘り強く後を引くんだからね〜!! 覚悟しててよ〜!!!」

いくら赤司が恐怖の大魔王という二つ名を持つ相手だからと言っても、黒子テツヤに関する問題では簡単に引き下がる訳にもいかない。負け犬の遠吠えだ、と絶対的勝者に馬鹿にされそうだが、4人が束になって大ブーイングすれば、それはもう見事な大騒音。余裕の構えを見せていた赤司の心を苛立たせるには十分である。ついには……、

「よし……お前らの気持ちは血管がブチ切れそうになる程よく分かった……情けない負け犬共にも有難いワンチャンスをやろうじゃないか……僕と酒の飲み比べをして勝った者にテツヤと同棲する権利をやる。ただし、僕に負けて酒に飲まれたのならば、黒子テツヤは僕の一生涯のパートナーだと素直に認めて同棲の件から引き下がれ……いいな?」

皆の愛する黒子テツヤをかけて、酒飲み一本勝負・開幕。




「……まったく、赤司くんが必ず勝つ勝負をしかけた結果……この有り様ですか。酔っ払いの巣窟ですよ……ここは」

   数時間後、勝敗は大酒豪・赤い魔王へ軍配があがる。そう、赤司征十郎の身体は酒に物凄く強い。所謂、並外れた“ザル”である事を知っているのは、普段から自宅でお酒を飲み交わす機会が多い黒子だけだった。他のキセキの面々も赤司が酒に強い事は知っていたが、まさか4人全員を軽々と圧倒するまでだとは予想していなかったらしい。嫉妬に駆られて冷静さを失い、赤司の口車に上手くのせられた彼らが、ハイペースで大量の酒を飲み続けた末路は……、

「黒子っちぃいいぃぃいっ黒子っちぃぃぃいいぃっ!!! 好きっス! 大好きっス!! 俺を飼って下さいっス!! ワンワンワンワンッご主人様っ愛してるっスーー!!!」
「おれが……ひっく、……こんなに、黒子を……うっ、うっ、……愛しているのに……いつも思わず照れてツンツンしている間に……いつもアイツがチュッチュッして良いとこどりして……おれのささやかな恋物語を狂わせて……ううぅ……すべて、赤司が、悪いのだよぉ……うわあああんっ!!!」
「テーチュ! テーチュ! おれとチューしろよぉ〜! おれたち、一生相棒だろぉ〜! 誓いのチューするぞぉ〜!! 結婚指輪はバスケのリングを獲ってきてやるからチューさせろ〜!! 結婚しようぜ〜テチュ〜〜〜!!!」
「ねぇ、黒ちん……チビ魔王の赤ちんなんかで、満足してるの?……横暴外道赤ちんなんかより、俺の方が、優しいし……相性も絶対イイよ……ほら、こっち来なって……タップリ甘やかして……気持ち良く、してあげる」

キャンキャン駄犬レベルMAXになってしまった黄瀬、グダクダ泣き上戸になってしまった緑間、ベタベタ甘えん坊やになってしまった青峰、ゾクゾク誘惑ホスト化してしまった紫原……なんというカオス空間。酒の魔力でタガが外れて黒子へ執拗に絡んでくるが、王様兼騎士様の鋏ディフェンスによって、実害を防いでいる状況だ。赤司にピッタリ密着完璧ガードされているおかげか、黒子は友人たちの変わり様に辟易しながらも、美味しいお酒や料理を安全に飲み食い出来ている。

「お前ら……僕のテツヤに気安く近寄るな…穢れるだろうが。……テツヤ、どうだ? いっぱい飲んでいっぱい食べられているか?」
「はい、僕の好物ばかりで、とっても美味しいです……ありがとう、赤司くん」

   モグモグモグモグ、リスやハムスターなどの小動物を彷彿させるような頬袋を携えて食べ続ける姿、なんと愛らしいことか。そんな恋人兼未来の嫁の様子を、甘くとろけるような眼差しで見守る恋人兼未来の旦那・赤司征十郎。鴛鴦夫婦のようなふたりの間を邪魔するモノなんて無い……、

「黒子っちぃいいええぁあああ!!! 俺のつくね棒もハムハムして下さいッスううううっっっ!!!」
「いや、テツが食べるのは俺の超極太フランクフルトだろうが!!」
「ななななっ……お前らっ!! 破廉恥なのだよっ!!! いくら黒子の食事姿に性的興奮をおぼえても、黙ってハアハアしておくのが紳士という者なのだよっ!!!」
「ドーテーメガネはサッサとトイレ行ってシコってろ。黒ちーん、俺の恵方巻き…最高に太くて美味しいよ?食べてみない?」

……とは、言えない事態。肉汁滴る棒状のつくね串を食べ始めた黒子の口元に目が釘付けになり、ここぞとばかりにセクハラまがいのアピールをする酔っ払い共。自分の恋人をターゲットにして自身の肉棒を食むという卑猥な妄想を繰り広げる彼らの言葉を聞いた人間の頭からはブッチリと太い動脈の切れる音が、

「この変態共っ……ブッ殺、」

聞こえた瞬間、赤司の怒りの声を静かに遮ったのは、

「すみません、僕はいつもこまめに赤ウインナーを食べているので間に合っています」

黒子テツヤによる丁重な断りのお言葉。それは皆を驚愕させる新たな新事実の発覚だった。黒子に対する妄想劇は強制終了、もはや4人の思考は赤ウインナーだらけの混乱状態。

「えっ、赤、ウインナー……?え、ええっ???赤とウインナー???赤司っちはウインナー……、」
「……ま、まさかな。そんなわけあるはずないのだよ……いや、え?赤ウインナー……モグモグ黒子……なのだよ??」
「赤ウインナー……赤司のウインナー……おい、それって、もしかして……いや、もしかしない方が……」
「ねぇ、黒ちん。もしかして、……ううん、もしかしなくても、赤ウインナーって、赤ちんのイチモツのこと?」

   推測を確信へ変える、トドメの一撃は、

「はい、そうですけど……何か問題ありましたか?赤司くんと僕の夜の営み事情に」

唯一の目撃者・黒子テツヤの証言により遂行されたのだった。

「テ、ツヤ……ウ、ウインナーって、なんだい……? 僕の、伝家の宝刀を……そんな、チンケなものに、例えないで欲しいなぁ……?? どうして、そんな風に、わざと、ぼ、僕の心を……グッサリ、抉ろうとするんだい……僕の、愛する、テツヤ……???」

   瀕死の大ダメージを喰らったのは、震え声を隠せない顔面蒼白冷や汗ダラダラのショック状態・激弱り赤司征十郎。まさか最愛の恋人が自分の性器へ低級かつ貧相な印象を抱いているとは、夢にも思わなかったらしい。信じたくない、だけど、否めない、黒子テツヤの本音。突然のリアル悪夢の訪れにより、赤司からは先程までの威圧感が嘘のように消え失せている……赤い青年は風前の灯火のようだ。それでも黒子テツヤは、

「え、すみません、気にしていたんですか?でも、大丈夫、僕は好きですよ……赤司くんの控えめタコさんウインナー」

真実を素直に述べてしまう、たとえ最愛の恋人のメンタルが死にかけていても、だ。

「!!!……ぅ、くっそぅっ!! テツヤのバカァ!! デリカシー皆無っ!! どうせっ、僕は、赤ウインナーさっ……!!! おい店員っ、ウオッカをピッチャーで持って来い!!!」
「うわああああ!!! 赤ウインナーが御乱心なのだよおおおお!!!!!」

   赤司が悲しみと悔しさと怒りに任せ、大酒を浴びるように飲み暴れる中、黒子はかわいらしく小首を傾げながらひとり呟く。

「赤司くん……真実に対して何をそんなに怒り狂っているのでしょう……別に、アソコの大きさなんてどうでもいいじゃないですか……大きな愛があれば幸せですよ。それにしても、カルーアミルク、美味しいですね……赤司くんのミルクには負けますが」



本音?それはどんな君の一部もひっくるめて愛してる、ただそれだけです



   最終的にヤケ酒で人生初の飲み倒れをした赤司をやさしく介抱する黒子の姿は、まさに飲兵衛夫と献身妻、完全に熟年夫婦のようだったと、酔いの冷めたキセキたちは諦念を滲ませながら語っていたという……おわり。










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