生まれて、良かった


そう、心から思えるようになったのは、あの子が僕の心に現れてから


「赤司くん、」


空色のこの子に出逢ってから、僕の無味な心は、様々な味覚を覚えていく


『赤司くんのおかげで、僕は新たな力を手にする事が出来ました…ありがとうございます……強くて優しい、赤司くんが、僕は大好きです…心から、尊敬しています』


ほんのり甘かったり、


『……赤司くん、って、意外にさみしがりやなんですか?隙あらばこんなに僕へ抱きついてくるなんて……あの駄け、…いえ、黄瀬くんみたいな一面があるんですねぇ……彼と違って、不思議と嫌な気はしませんが…』


微妙にしょっぱかったり、


『……えっ、…す、き…?……って、…あの、それは、…友情として、…ですよね…?…まさか、…ぁ、…いえ、なんでもありません…僕のおかしな邪推です……気にしないで、下さい…』


じんわりとほろ苦かったり、



色んな味で嬉しくなったり落ち込んだり悲しくなったり、この影の子は僕の心へ多彩な味付けをしてくれた

何にも感じられなかった僕の心が知ってゆく、知らない酸・苦・甘・辛・鹹

恋心を自覚した時には既に、ツルツルだったはずの薄っぺらい心へ芽生えていた、ポコポコ味蕾

もしかして、テツヤは僕に不足していた亜鉛だったのかな、なんて苦笑してしまうよ

完全無欠の人間だと云われていた僕に、大切な“こころ”の欠点を気付かせ、僕というひどくつまらない人間を味わい深いものにしてくれたのは、彼の存在そのもののおかげだ

そして、何よりも、この僕へ、


「赤司くん、赤司くん……、お誕生日、おめでとうございます……」


黒子テツヤにしか感じられない“こころ”をプレゼントしてくれたんだ


「…僕は…赤司くんに、出逢えて、本当に、…良かったです…」


やさしく微笑む僕の最愛のひとは、


「君が、僕に、“しあわせ”をプレゼントしてくれました…赤司くんの存在は、僕の知らなかった“しあわせ”そのものなんです…」


僕のかけがえのない“しあわせ”そのものなんだ


「生まれてきてくれて、ありがとうございます……僕に、愛という“しあわせ”を教えてくれて、僕は本当に、しあわせ、です」


あぁ、もう、しあわせすぎて、なみだがでちゃうよ


「テツヤ、僕が生まれた意味は、きっとお前と“しあわせ”になる為なんだね」


生まれて、良かった


心の底から、そう泣き叫ぶよ


あの日、生まれた時のように





















12/20

「赤司くん、おめでとう」
「ありがとう、テツヤ」


赤黒ちゃん、末長くお幸せに!










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