*あんけーと:シリアル赤黒ちゃん
※雰囲気文章で意味不明
※イメージは【恋の∞番勝負】の赤黒ちゃん達のパラレルエンド











   いつだって、馬鹿の一つ覚えで、愛してると叫ぶ。

   ポカポカポッカポカ呆れ返る程あったかいお花畑のような愛を一心不乱に捧げる馬鹿な人でした。


『ああああああっ!!! テツヤ! テツヤ! テツヤ! なんて可愛い生き物なんだっ!! 一生守ってあげるから僕と添い遂げてくれっ!!!』

『もうっ、テツヤったらそんなゴキブリを蔑むような嫌悪感丸出しの表情をわざわざ作って照れ隠ししなくてもいいんだよ? テツヤのツンツンデレっぷりは僕がガッチリ心得ているから……さあっ、思う存分にデレデレデレデレして構わないよっ!全部受け止めて全部抱きしめてあげるっ!!!』

『テツヤ!! これでどうだっ!! バニラシェイク一生分と引き換えに毎朝僕にあったかいお味噌汁を作ってくれ!!』

『ゲボォッ……!!……ふ、フフフ……さすが、僕が鍛えてテツヤが磨いた技だね……鳩尾にズドンッと愛らしいひねくれ好き好きイグナイトが見事に決まったよ……この痛さがクセになるな……ジワジワとテツヤの熱が伝わって、胸がドキドキキュンキュンするよ……好きだ、テツヤ』

『テツヤ……どうして僕がテツヤをテツヤって呼ぶのか知っているかい? 将来、テツヤが赤司になるからさ……だから、テツヤも旦那さまを呼ぶ時は、ちゃんと名前で呼ばなきゃ哀しいよ……征十郎、って』


   そんな馬鹿なあの人は、ある季節が、好きでした。だけれど、僕は、彼が好んだ、その季節が、嫌いなのです。どうしてか、と、理由を訊かれたら、どうしても、と、理由を答えてあげましょう。



   冷たいのか温かいのか解らない、その季節が嫌い。

   別れなのか出逢いなのか解らない、その季節が嫌い。

   泣いていいのか笑っていいのか解らない、その季節が嫌い。


   “オマエ”のせいで、おかしくなってしまったんだ。


   ある季節のある日、赤司くんが消えた、どこかに消えた、どこに消えたの、あのバカは。





『僕は、一番好きだな“春”が』


   いつも僕にベタベタ構ってちゃん至極煩わしい彼とは違う、柔和ながらも凛とした独特の空気を纏っていたその春の日。

   やんわりと手を繋がれて、やんわりと微笑まれて、そんな美しさを発揮した赤のヒトに戸惑いながらも連れ添って歩いた、美しい桜並木の記憶。

   ポワリと頬をすり抜けていく、あたたかでさわやかでゆるやかな風。その力で作り出す、サラサラ流れゆく幻想的な桜吹雪を共に見ていた。


『綺麗だね……やさしくてあたたかい吹雪だ』

『はい、そうですね……僕も、そう思います』


   共感し合うふたり。
   “恋愛未満”の曖昧な関係の彼等だった。


『……春、だな……』

『……春、ですね……』


   けれど、いつまでも生温い春なんて続きはしない。

   三寒四温、凍える終末線がやって来る。


『“春”だから“おわり”で“はじまり”
そうだよね……テツヤ
僕達は“0”になるべき時だ』



曖昧な
言葉
表情



『黒子テツヤの中の赤司征十郎も、赤司征十郎の中の黒子テツヤも、“0”にしよう』


   いみがわからない、きみのくちにしているきみらしくないよわよわしいことばが、わかるはずもない、わかりたくない、なにを、かってに、ぼくを、あきらめて、なにを、かってに、ぼくを、おいていくのか?


『……テツヤも、その方が、いいだろう?厄介な愛を喚き散らす人間に消えてもらえて……そんな便利な“春”が有難いだろう?』


   ふざけるな
   共感なんて、してやらない

   “0”になる“春”なんて
   “冬”にガチガチ凍らされて
   “夏”にジュワジュワ灼かれて
   “秋”にザクザク真っ赤に染められればいい


『それでも、“0”になっても、また“春”が巡ってきた時、テツヤが僕を忘れないでいてくれたら、僕の名前を、一心に呼んでくれないか? 僕の愛した、僕を嫌いなテツヤ』


   泣きながら笑うなんて、神様よりも卑怯だ。


『ねぇ、テツヤ……最後に、一瞬だけ、触れてもいいかい……?』


   “春”よ、死ね

   “オマエ”が僕の脆い感覚を、やさしく残酷に、逆撫でする度、

   ‘ち、ゅ’

最後に伝えられた、赤司征十郎の、曖昧な唇の温度を、反芻してしまう。



   春よ、 春よ、春よ、



「……せめて、生きているのか、……死んでいるのか……教えてください……いったい、きみは、どこにいて、なにをしているの……だれを、おもっているの……?」


   お願い、一際鮮やかに紅く輝く、桜の花びらを、


『人の心に残るように、潔く散っていく、桜の花びらに……僕も、なりたいんだ。そうすれば、テツヤだって、僕を心の中で生かしてくれるかもしれないだろう?』


僕の元に、届けて。


「……すきです、……もう、逢えないなんて、いや、はやく、もどってきて……逢いたい、あいたいです……赤司く、あかしくん……あかしくん……あか、し、くん、……」


“なまえ”をよんで、テツヤ


「せいじゅうろうくん!!!」





   ふわり、
   いつだって、春は、人知れず
   現れては失せ、
   失せては、ふわり、と、


「……“春”の風は、やさしいね。そのやわらかな力で、僕達を巡り合わせてくれたんだ。……永遠を誓う為に。やっぱり、“春”は好きだ」


   また、廻って、流れて、零れる。
   そう、くるり、そより、ぽたり、と。


「はらはらと涙を落とす、美しいテツヤには、とてもよく似合う……美しく舞い散る桜の花びらが」


   ありがとう、あたたかくてやわらかくてやさしい、春の風よ。


「どこにいても、なにをしていても、どんな季節でも、テツヤのことしか、考えられなかった……“0”にしたって、テツヤへの想いは消えない…まっさらに愛が募るだけ……もう僕は逃げないよ、いや、離れたくないんだ。一生、お前のそばにいたいから……どうか、誓わせてくれ」


   くちびるからくちびるへ、まっすぐな想いと共に伝わってくる、


「愛してる、テツヤ、永遠に」


確かな、赤の温度。




ゼロの春

瞬き、巡りて、

ふたりを結ぶ





「征十郎くん、……散々僕に心配かけやがりましたね……くたばれっ、ボケナス暴走失踪野郎っ!!!」

「え、テ、ブフぉっ!! くっ、たまらない……懐かしい。この、愛情裏返し鉄拳っ!! テツヤぁ! 好きだぁ! 大好きだぁ!! くたばっても、心底愛してるっ……!!!」


   まずは、一拳入魂。

   一心に愛を込めて、君をぶん殴る所から、僕らの鮮明な恋をはじめようか。


(いないいないばあ、おまえのこころへ、かえってきたよ)

(ばかばかばか、もう、ずっと、そばにいないと、ゆるさない)










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