*あんけーと:ヤンデレ×双子パラレル赤黒ちゃん
※近親相姦を匂わせる描写に注意















生まれる前から、愛を知っていた







拒絶、自分ではないモノを非自己として排除する反応

二卵性双生児の場合、もし心臓を移植したのならば、拒絶反応が生じてしまうという

一卵性双生児の場合、もし心臓を移植したとて、もうひとりの自分であるから、受け入れられる

同じ人間と同じ人間は、ただ分離したりただ同化したり

ひとつがふたつにわかれて、ふたつがひとつになれるだけ

愛し合えない、根本的に自身を愛するに変わらず、自己愛に帰結

僕らは二卵性、そう、違う人間、赤では無い他人、ひとりのヒト、異個体

同じ人間の遺伝子を受け継ぎ、同じ人間の腹から生まれたといっても、僕は僕でテツヤはテツヤだ



だから、愛しても構わないだろう?

『僕も、征十郎を愛してますよ、唯一無二の双子の兄弟、僕の片割れですからね』


だから、手を繋いでも構わないだろう?

『…いつまでたっても、手を繋ぐのが好きですね…ちょっと、恥ずかしいけれど、これ位はいいですよ……全く、可愛いらしいですね、君は』


だから、抱き締めても構わないだろう?

『んっ…どうかしたんですか?…温かいから、いいですけど……ちょっと、痛いですよ…ギュウギュウ抱き締め過ぎです』


だから、キスしても構わないだろう?

『…!!…っ、もうっ…!そこは止めて下さいとあれ程言ったのに、隙あらば唇にキスですか……もう高校生なのですから、そういう行為は兄弟でも軽々しくしないで、征十郎の大事な女の子にしなきゃダメです……って、なに、怒っているんですか』



だから、だから、だから、



××しても、構わないんだ、僕達は






震える空色の瞳で僕を見上げるテツヤは、僕とは全く似ていないけれど、紛れもない二卵性双生児だから、お互いを想う心は、“いっしょ”のはずだよね?


「……征十郎……いったい、これから、なにを、するつもりなのですか……?」

「…なにって、決まってるだろ……ひとりの人間同士、愛し合おう」

「……は、…は?愛し合う…?それは…どうやっ、」

「繋がろうよ、深く深く、お互いがお互いを埋め尽くすように明け渡すように入り乱れるように、血も涙も唾液も精液も混ざり合ってグチャグチャになって、どちらがどちらか解らない位に溶け合いたいんだ、その過程でテツヤに拒絶されたって仕方ないとは解っているよ?だって自分ではない誰かを自分の一部にするのは極めて難儀な事だもの、でも大丈夫、僕らは赤の他人ではないから、どんな他人よりも自己に近い存在同士、比較的受け入れ易いはずだよ、良かったね、きっと成功する、あれ?どうしたの?テツヤ、そんな瞳をして、僕たち、血を分け合った仲じゃないか、なのに、テツヤ、どうしてそんなに怯えているの???」

「…狂ってる…そんな考え、オカシイ…退いて下さい……征十郎、…今すぐ…僕の上から退いて、」

「イヤだよ、無理だよ、限界だよ、もう僕の心臓が腐りそうなんだ、これ以上テツヤへの本当の愛を生殺し出来ない、双子だろうがなんだろうが、僕はひとりの人間としてテツヤを愛してる、愛してる愛してる愛してるんだ、生きている限りテツヤ以外愛せやしない、この淀みない清らかな想いをテツヤに植え付けたいよ、僕の先天的愛情を」



“僕はね、子宮にいた時から、テツヤだけを、愛していたんだよ”



そう、耳元で真実だらけの告白を囁いて、真っ青になったテツヤを赤く染める為に、僕はやさしく心臓にかぶりついた




羊水と絶海から


















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