*あんけーと:ほのぼの×甘×おかしな赤黒ちゃん
※赤×黒+緑が幼なじみパラレル
※黒が原作に反して食いしん坊、赤が料理上手
※色々やりたい放題キャラ崩壊
「てっ…テツヤのことなんか…」
真っ赤な髪に負けない位、真っ赤な頬の征くんが、僕をギロリと睨んで放ったのは、
「…大っ嫌いだっ…!!」
最大級の嫌悪の言葉、ダイキライ
「嫌われちゃいました」
「そうか、それは自業自得なのだよ」
え、それだけですか真さん。幼なじみのくせに薄情ではありませんか真太郎さん。いや、幼なじみという腐れ縁だからこそこんなものなのでしょうかボンクラメガネさん。現在の僕、幼なじみの一人である赤司征十郎くんに絶賛絶交されて、完璧無視されまくって、まともに会えていない状況なのですが、その寂しく悲しい心情を解ってはくれないのですか緑間真太郎さん
「僕、そんなに悪い事をしましたかね…征くんが、あんなにも、烈火の如く怒るなんて、ビックリしました…」
「…さぁな、黒子に悪気がないのならば一概に悪い事ではないのだよ…まぁ、そういった類の感情に関してとことん鈍いお前には理解し難い問題でもあるから…どうしようもないのかもしれないがな…全く、天然罪作りだ、黒子は」
一見慰めているようで、さりげに「鈍感人間、反省しろ」と責め立てているような幼なじみAをついついジトリと睨めば、無言で眉間に激しいデコピンを喰らいました。痛い、地味じゃなく派手に痛いです。絶対に派手に真っ赤になっていますよ、これ
はでにまっかに…、
うーん、派手に真っ赤といえば、やはり幼なじみ@を思い出します
あの時の、真っ赤な、征くんを
それは、あの鮮血のような赤い髪だけではなく、時折僕に見せる真っ赤な林檎のような頬からも連想させられる
まっかなりんご……、
あ、なんだか、無性に、林檎を食べたくなってきました
皮付きのまま、ガブリと食べたい
ガブリ、と
…そうそう、そうです、だからですよ
決して悪気があった訳じゃなくて、ただ単に、
「真っ赤な赤司が美味しそうだから、思わずかぶりついた、とか本当に馬鹿なのだよ、食いしん坊黒子は」
食べ頃の林檎だったから、食べようとしただけなんです
「哀れな……クッキリと頬に黒子の歯形がついているのだよ…赤司」
「………真太郎か……」
あまりにも不憫な赤髪の幼なじみが立てこもる部屋に入れば、奴はベッドの上に腰掛けながら項垂れていた。普段は周囲の人間から鮮血の大魔王様と恐れられている威圧感や残虐性は全く感じられない。黒子に対して表では強気で素直になれずツンツンするくせに、裏では想いと正反対な行動をとってしまう自分に嫌気がさしてとことん落ち込む姿は昔からずっと変わっていないようだ。それはあの天然爆弾のような幼なじみも同じであり、いつもとことん赤司に関する地雷を踏んで厄介な喧嘩を引き起こすくせに全く学習能力が向上しないときた。黒子の鈍感極まりない質の悪い振る舞いが、奴を特別に想う赤司へ怒りの炎をけしかけてしまう。火事の理由を理解し得ない黒子は、赤司の想いなんて露知らず、次々と不用意な言動を発して火に油を注いでしまい、遂には大炎上。そして、中立な立場である俺がその消火作業にあたらなければならないのだ。本当に心底面倒な奴らに違いないが、結局放っておけない俺は相当なお人好しかもしれない。仕方ない、長年見守ってきた幼なじみ達だ。俺は俺の役目を果たそうではないか
「噛みつき犯人、まるで悪びれていない上に反省の色は皆無なのだよ。むしろ、林檎が食べたい、征くんが僕の大好きなアップルパイを作ってくれないでしょうか、とかぼやいていたぞ」
未だ鎮火しそうもない憤怒の炎。それを助長させるしかない事実を聞き取り、垂れ下げていた頭をバッと上げ、端正な顔をグニャリと歪ませる赤司の瞳には、怒りだけでなく悔しさや哀しさものぞかせている。まあ、これは、致し方ないだろう。自分ばかりが想い人に心を揺さぶられて振り回されている身なのだから、
「…テツヤめ……この僕を小馬鹿にするのも大概にしろ………幼なじみとして甘く見てきてやったけれど、今回に限っては…やっぱり、アイツなんて…だいっき、」
ツンツン、に、なりたくもなるのだよ
「でもな、喜べ赤司、」
だが、デレデレ、した方が良いのではないか?
「…なんだ、真太郎…その含み笑いは…、」
報われ知らずだったオマエに、
「実はな……“征くんに会いたい、とってもさみしいです”と、あの黒子がかなり落ち込んでいたのだよ…赤司、素直になるなら、今なのだよ!」
「…え……ん、な……っ…!!」
ずっとずっと待ち焦がれていた、朗報、なのだよ
「わぁ…、すごく美味しそうなアップルパイですね!!さっすが征くんっ…ありがとうございます!」
僕がテツヤの顔をまともに見たのは久しぶりだ。いや、久しぶりと言っても一週間程度で、たまに我慢し切れなくてこっそり盗み見てたりもしたし、別に大して嬉しく無い……わけでもないけれど。ただ、テツヤが僕に働いた無礼を、まだ簡単に許せはしない。だけど、テツヤが僕に会いたいなんて懇願するものだから仕方なしに会ってあげたし、テツヤが僕の作るアップルパイを食べたいなんて懇願するものだから仕方なしに作ってあげた僕はとても心の広い人間だと思う、本当に
「……いいから、さっさと食べろ…って、もう食べてるのか…、」
「おいしいっ…!激ウマですよっ!!征くんっ、天才っ!!!」
「!!……ふ、フンッ!あ、当たり前だ!!」
少し目を逸らした隙に、パクパクモグモグ食べ始めていたテツヤを見て、やっぱりコイツは花より団子タイプの人間だな、と改めて感じて溜め息をつきたくなった。昔から僕の密やかな熱い想いには1ミリも気付かず、恋愛云々そっちのけでバニラシェイクやアップルパイその他諸々食べ物だらけの思考回路と心の中。僕の恋心を具現化出来るのならば、それを無理矢理テツヤの口の中へ突っ込んで食べさせて味あわせてやりたい位もどかしくてじれったい。とにかく、鈍感食いしん坊・テツヤが腹立たしい。しかしながら、頬袋にアップルパイを溜め込んで、口の周りに食べかすをつけながら、瞳をキラキラ輝かせて僕のお菓子作りの腕を誉めるコイツの可愛らしい素直さに、結局ほだされて負けてしまう自分が一番腹立たしい。あっさりとそんな自分の気持ちを認めるのは悔しいが、さっさと認めないのは男として往生際が悪いと自覚している。そう、心の中では好きだと解っていても、実際の態度や言葉には反映されないのが僕の唯一の欠点だ。意地っ張りやら捻くれ者やら真太郎に好き勝手揶揄されるのも悔しいが無理もない。もし僕が、鈍感なテツヤにも気持ちが伝わる位、素直に恋心を表現出来たのならば、この報われる気配の無い一方通行な関係を、変えられていたのかもしれない。それを実行せずに、ここまで来てしまった意固地で臆病な僕に果たして勝算はあるのだろうか………、
と、僕が悶々と思い悩んでいた時、
「征くんの手料理が毎日食べられたら…幸せですよね…、」
食いしん坊代表はおもむろに問題発言を呟き出した。僕に毎日テツヤへ料理を作れと?料理は嫌いじゃないが、毎日テツヤの事を考えながらテツヤの為に料理をするのは、色んな意味で疲れてしまうから嫌だ
「…ハァ……テツヤ、無茶を言うな……毎日なんて、めんどく、」
やはり自己中の賜物である奴にキッパリと断ってやろうとしたら、
「あっ!!」
まさに電球がピカッと光ったように閃いた顔。普段は小さな声が急にバカでかい声に変わり、不覚にも驚いてしまった僕の続く言葉が途切れてしまった。そして、
「なっ、なんだ…急に、叫ぶな馬鹿テツ、」
次に発した空色の幼なじみの言葉で、
「征くん、僕たち、結婚しましょう!」
一瞬にして、すべてが、真っ白になった
「……………?!?!?!」
口がパクパクしている僕はまるで金魚みたいだろう。それも赤い赤い真っ赤な金魚だ。さっきまでエサを与えていたのは僕のはずだったのに。今の僕は飼い主にやっと待ち焦がれていた大好物のエサを貰えて、残さず食べようと必死に口をパクパクしている、あまりにも滑稽な金魚・赤司征十郎
「そうすれば、毎日征くんと一緒ですし、毎日美味しいモノを食べられますし、最高ですよねっ!!」
パアッと眩しい、向日葵のような笑顔で、僕がいずれテツヤに申し込む予定だった、とっておきの言葉を向けられてしまった
「……ほ、本当か……?…そ、れは…本気で…、」
思いがけず、先を越されてしまい、花婿としては情けないかもしれないが…僕は本気で、嬉しくて嬉しくて、天にも昇る想いに、
「なんちゃって、てへぺろん。そんなこと、天変地異でも起こらない限り、有り得ませんよね、」
「!!!!!」
なったのも束の間、天国から地獄
すぐに突き落とされ、糠喜びという極限の羞恥心に塗れた僕
一瞬にして、すべてが、真っ赤になってしまった
「だって、」
だから、動揺せずにその理由をちゃんと訊く余裕も、早とちりせずにその理由を最後まで聞く耳も、持たずに、
「…テツヤなんか、やっぱり、きらいっ、だいっきらいだっ!!!」
激情任せに、火山を噴火させてしまったんだ
「えっ…征くん、また急に怒ってどうしたんですか…??」
「もう、テツヤなんて、知らないっ…一生モグモグニブニブしてろっ…!!!この、糠喜ばせおバカさんがっ…!!」
「あっ、ちょっと、糠??…わっ、征くん、どこへ行くんですか!?…征くんの分のアップルパイも食べていいんですかー?もったいないから食べちゃいますよー!…もぐもぐ…あぁ、美味しいですねぇ…」
真太郎は、昔からずっと、僕に云う
『赤司、お前は、本当に、黒子バカなのだよ』
確かに僕は、バカだ
テツヤに関して、短気で単純で直情的かもしれない
けれど、
テツヤのバカヤロウ
僕の長年温めてきた
大切な想いも知らないで
無邪気に、僕を、
「お〜い、征く〜ん、キミが僕をキライでも、僕はキミのコト、スキですからねぇ〜」
揺さぶらないで
僕のすべては、どんな小さな喜びも哀しみも感じ取って、否が応でもオマエに引き寄せられてしまうのだから
「え…だって、征くんは僕を“だいっきらい”なんですよね?だから、僕達の結婚なんて、天変地異でも起こってキミの気持ちが真っ逆さまにならない限り有り得ないじゃないですか」
「こんのっ…テツヤの激ニブど阿呆がっ!!どうして、わからないんだっ…僕の本当のキモチがっ…!」
「…征くんの、ほんとうの、キモチ…?」
「僕がテツヤを“だいっきらい”なわけないだろっ…!“だいっきらい”の“はんたい”だ!!」
「えっ…、だいっきらいのはんたい……えっ…あーっ!じゃあ、僕達は“両想い”なんですねっ!」
「…っあ、…う、…あ…あぁ、そうだ!!」
「わぁい!うれしいです!これで征くんと晴れて結婚できますね!!征くんっ、だいすきっ!!!」
ぎゅうっ、
「は…ハァッ?!?!なっ、えっ、…だだだ?!すすす?!」
「それじゃあ、もう食べても問題ないですよね」
「…は?…テツヤ、おま…、」
「いただきますっ!!!」
「ちょっ…、」
ガブリ、
「いでーーーーっ!!!!バカテツヤっ!!首に噛みつくなっ…!!…やっぱり…テツヤなんか、」
「だって、僕がこの世で一番好きなの、バニラシェイクでもアップルパイでもありません…一択で、征くんですもん」
「えっ…、」
「我慢し切れません、一心不乱に、食べてしまいたいです」
どくん、
「…くそっ…、テツヤは、ズルい
どうしても、僕が、オマエを、」
お願いだから、これ以上、僕を、
「…スキ…としか、想えなくする」
真っ赤にさせるな
「僕もですよ…征くんにキライって、大キライって、言われても、キミをスキとしか想えません…それに、僕自身、キミをキライなんて一度も思った事ない……だって、僕は、征くんの赤を見ると、愛しいなぁ…って心から感じるんですよ」
嬉し過ぎて、熟れすぎて、腐ってしまいそうなんだ
「…ねぇ征くん…、キスしても、いいですか…?」
そんな林檎でも、オマエは頬を桃色に染めながら、好んで食べようとする
「…テツヤの、好きにしろ」
オナカを壊しても、知らないからな
「…えぇ、好きにしますよ
いただきます、征くん」
僕のくいしんぼうテツヤ
未来の愛しの花嫁
一生、
聴こえぬ、
ごちそうさま!