すばらしい春のために、なにがひつようか、かんがえていたあのころ


ぐうぜんのであい、ではなく、うんめいのであい


ひつぜんと、ぼくがみつけた、みじゅくなあのこは、やさしいようできびしい


やさしくすれば、やさしくなじみ

きびしくすれば、きびしくとんがり


あたたかくて、つめたくて、そんなやりとりをくりかえしてきた


ひやり、としても、ふわり、とやわらぐ


さむい冬がきても、あたたかい春になるように


雪がふりつもっても、かならず、雪解けのじかんがやってくるんだ


みをよせあって、ぽかぽか、なかなおり


あのこはぼくをじゅんすいにおもってくれている


“あかしくんは、かみさまだ、いじわるだけどやさしい、ぼくのたいせつなかみさまだ”


そんなふうにあがめて、いつもまっすぐなひとみをぼくにむけて、せなかをおってくれるあのこ


ぽたぽた、まっすぐたれおちる、あせとなみだのすいてき


ぼくについていこうと、どりょく・どりょく・どりょく、ひたすらどりょく


なんとけなげでかわいらしい


じゅんすいだね、おまえは、ぼくとちがって、じゅんすいなんだ


どこまでも、いちずに、いちずに、ぼくしかみえていない、いとしいこ


そんなにすきなら、どこまでもひっしに、ついてくればいいさ


はいぼくをゆるされない、ごっかんのせかいで、さいこうほうの山のぼりをはじめよう


おまえのあいを、ためしてあげるよ、ぼくへのあいのために


ぜったいに、あのこは、ぼくをあきらめない


こころがおれそうになっても、こころがおれても、しにものぐるいでくらいつく


こころにそびえたつ、ありあまるじしんが、ぼくのあしこしをささえて


せなかにつたわる、あのこのまなざしが、ぼくのこころをぶくぶくふとらせ、さむさをたえしのんで


かんぺきなしょうりだけをめざし、吹雪のなかをずんずんすすんでいたぼく


ちーむわーく、しんらい、ばすけのたのしさ

いろいろなむだなにもつをすてながら、頂だけをみつめて、のぼりつづけた







ぞわりっ、


あれっ、なんだか、せなかが、さむいな


そういえば、ぼくをだいすきなあのこはぼくについてこれているのか?


ふと、きになって、うしろをふりかえれば、



「あかしくん、ぼく、きみには、もう、ついていけません、ついていきたくないんです、」



“ぼくは、しにそうです、さいていなきみに凍えさせられて”



ばいばい、さよなら、てをふる、あのこ


ゆきのあらし、ておくれ、おまえはもう、

きらきら、きらきら、

しずくがひかって、どこかにきえた





さいごの雪解け

なみだの死に水

つらつら、さよなら






きれいなこころを、ぽきりと、折ってみたかった、その邪心、なんと哀れなことか






つららみたいだ:タイトル【溺死】さま











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