「あ、」
「……っ!?」
「隣、赤司くんですね」
「……ぁ、ぃぅ……」
「よろしくお願いします」
「ぇ……お……あぁ、よろしく」


   俺、紫原敦〜。帝光中でバスケやってる14歳だよ〜よろしくね〜。今日俺のクラスは席替えで、なんと一番後ろの窓際の席をゲットしちゃったぁ。これで思う存分いつでもまいう棒食べられる、超ラッキーだな〜とか考えてたら更にラッキーなことに俺の斜め前の席は大好きな赤ちんで、更に更にその隣の席は大好きな黒ちんなんだよぉ〜(ちなみに、俺の隣は口煩いミドチン、ちょこっと残念)これならすぐにやさしいふたりに甘えられるから嬉しいなぁって思いながら、早速まいう棒を食べていると、俺はあることに気付く。赤ちんの様子が、おかしい。赤ちんの隣に黒ちんが座って話しかけたら、急にガチリとロボットみたいに固まって変になったんだけど! それでなんだか心配になってふたりのぎこちない(黒ちんはふつうだけど、赤ちんはおかしい)会話が終わった後、少し俯いている赤ちんの顔をちらっと覗き込んだら、俺超びっくりして、思わず叫んじゃった。「赤ちん!! だいじょうぶ?! 顔がまっかっかだよっ!!」って。そしたら、

「赤司くんっ、熱あるんですか?!」

俺の発言にすぐさま黒ちんが反応。眉毛を下げて心配そーな顔を近付けながら、赤ちんの額に手をあてて熱を確かめている(なんだか、ちょっぴり、うらやましい、赤ちんズルい)と、

「てててててテツヤっ?!?!んなっ、なにして……?!」

赤色と金色の目をグルグルさせた赤ちんはドンドン茹で上がったタコみたいな顔になって超合金ばりに硬直していっておもしろい。そんな赤ちんへ駄目押しとばかりに、黒ちんは、

「わっ!結構熱がありますね。風邪でしょうか……すごく、心配です」

ウルウル潤んだ瞳でジイッと見つめながら、ソッと、赤ちんのカチカチの両手を取って、ギュウッと労わりつつも強く強く手を握った。あ、超絶かわいい、黒ちん。あれっ、赤ちんは……

「っふぐぁっ!!!!!」

タコ大爆発、頭から湯気を出しながら、バタリと倒れちゃったぁ!!

「わあっ!! 赤司くんっ、しっかりして下さい!!!」
「赤ちん! すっごいタコ!!!」
「あ、赤司!! た、大変なのだよっ……紫原っ! タコ司を、ハッ、いや、赤司を保健室に運ぶのだよ!!」

   赤ちんはいつもいつも“れーせーちんちゃく”だって、みんなはいう。確かに赤ちんはなんでもできてなんでも勝っちゃうカンペキニンゲンで、努力らしい努力をせずにこなしちゃうから本当に天才。余裕たっぷりに優雅に構えて、顔色ひとつ変えずにみんなを統率する王様。だから、意外過ぎてびっくりしちゃったんだぁ。あの赤ちんがあんなに顔を真っ赤っかにするなんて初めてハッキリこの目で見たから。赤い頬っぺたのしおらしい赤ちん。……あれぇ?そういえば、時々赤ちんが顔を赤くしている時があったかもしれない。そんなことを考えながら俺は赤ちんを運ぶ。俺の隣には赤ちんを不安そうに見つめる泣きそうな黒ちんが付き添っている(黒ちんにこんなに心配される赤ちんに、ちょっと嫉妬)黒ちんと赤ちん。そのふたりに焦点を合わせながら、なんとなく有耶無耶な記憶を辿ってみると、モヤモヤだんだんと思い出し始める赤と黒の光景。あぁ、なぁんだ、りんごほっぺ赤ちんの視線の先には、

「……テ、ツ……ヤ、」
「えっ、あかしくん……?」

今意識を失っている赤ちんが呟いた名前の、黒ちんがいた気がする!

   なんでだろ? うーん……まぁ、いっかぁ……なんかよくわかんないけど〜……とにかく、 赤ちんは、

「かわ、……い……××……だ、」

黒ちん限定の赤面症なんだよ、たぶんねぇ?



初期症状

発赤・発熱

恋の病












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