グサリ、突き刺さった、核心


   毎日僕へ襲い来る残忍な夜、このまま、真っ暗な、死体だらけの、世界で、ひとりぼっち、 闇に消えていく気がして、 こわい、 かなしい、


「……はい、……さみしい、です」


ぼくは、ただの、さみしがり。


「そう、……やっと、素直になったね……」
「……すみません、さみしいなんて、なんだか、はずかしくて……」
「いや、はずかしくなんか、ないさ……僕だって、テツヤがいなければ、さみしい、よ」
「……あかし、くん」


   いや、ただの、じゃない、


「なぁ、テツヤ……お願いだから、もっと、……僕を頼ってくれないか…?」
「……え、でも、そんなの申し訳な、」
「だって、お前は、僕の、最愛の人間、なのだから」


せかいいち、しあわせな、さみしがりだ。








   窓の外から見える星は幻の涙で霞み、空気は地に伏せるが如く重量に従い、昼間は脇役だった微かな音が主役となる、夜の世界。この暗闇が、神聖な空間に感じるのは、やはり、死んだように眠る生物を想起してしまう為なのかもしれない。幾千もの死者達へ、月は哀悼の意を捧げるかのよう、慎ましやかに美しく発光している。

   確かに、この夜の時の中で、死を迎える生物は、光を失った星と同じく、数え切れない程存在するのだろう。そして、僕が、その星の死者達の最期を知らないように、もし黒子テツヤが此の世から消失したとしても、その訃報を知らない人は現存する星の数よりも、きっと多いのだ。

   誰もが全ての人にとっての“太陽”でも“月”でもあるはずがなく。もしかしたら自分は、最初から最後まで“没した星屑”なのかもしれないと、悲観してしまう。きっと僕は、特別な輝きを放てぬ人間でしかないのだ。


「……テツヤ、」
「……赤司くん、」


   相反して、君は、太陽よりも月よりも、輝いている。鬱蒼とした闇夜の中で、ちっぽけな影にやさしく微笑みながら、その名前をやさしく呼ぶ、君は。死にかけのさみしがりを、力強く眩い光で包み込み、 この死の世界を越える勇気を分けてくれた。君がそばにいるとあったかい。


「ねぇ……テツヤ、」
「なん、ですか?」
「手、繋ごうか」


   ぎゅう、ぎゅっ、あ つ い。冷え切った指先から、急激に熱を帯びていく、僕のカラダ。


「……お前の手、やっと、あたたまったな……よかった、ほんとうに」


   ぼくは、いきている。

   君の、光熱で、やっと、感じた。


「テツヤ……もう、生きるのが無意味だなんて、思うな……テツヤが生きていることが、僕の生命線なのだから……僕は、ずっと、テツヤの、そばにいる……テツヤも、ずっと、僕の、そばにいて」


   ぼくは、いきていこう、


「一生涯、僕の愛をテツヤに捧げると、誓うから、僕を信じて共に生きてくれ」


君の、口づけで、やっと、そう、おもえたんだ。






君の温もり
死にかけの

さみしがり
僕の命を
燃やして
燃やして

生きる希望
昇華させた


真夜中
ふたりぼっちの

愛葬にて、
僕と君は
生涯
ひとつ
神に誓う















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