夜になると感じる
   世界が死んでいる、と


   毎日訪れる真っ暗で静かな時間。眠りについている、と比喩しても良いのかもしれませんが、僕には生命が冷えていく、抗いきれない現実としか思えないのです。どんなに生きたくても生きられない、残酷な光景を目の当たりにしてしまい、その表現を選んでしまった僕はペシミスト。終わりない闇の中で、大量虐殺をひとり目撃した感覚を味わい、人知れず怯えてしまう日々。僕を不眠症に陥らせるのは、定められた暗闇の来訪。朝が“生”としたら夜は“死”、朝がはじまるならば夜でおわる、生まれてしまったら死んでしまう。

   母親のカラダから出てきたばかりの僕は、泣くことしか出来なかった。それが何時の間にか、立ち上がり言葉を話し歩いて走って本を読みバスケをして。進化している、だけど、段々と、退化してゆく。平凡だけれど五体満足な僕は、心臓がちゃんと動いて呼吸もしているのに。

   どうして、こんなにも、心が空っぽなのだろう。

   なんとなく、理由は解るのです。きっと、いつか、いや、突然、僕の心臓は使い物にならなくなって、呼吸がピタリと止まって、この静けさと冷たさに浸透された夜に溶けてしまうのでしょう。ただでさえ、透明な僕の存在が、本当に消え失せてしまう瞬間、永遠のおわりが、必ず僕を殺す。それは、なんて、


「どうして、テツヤは、そう思うんだい?」


おそろしい、ことなのでしょうか。











人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -