※性悪悪魔テツヤくん降臨注意!
やわらかな微笑みを向ける優しい天使
みんな、テツヤをそんな風に形容するけれど、僕にはそうは見えなくて
対極に位置する存在、黒い羽根を持った悪魔のような可愛いあの子
僕の心を、全てお見通しで全て知り尽くして全てを意のままに
猫なで声で僕に甘えて、涙を浮かべて僕に頼って、ふとした時に天使の笑顔を見せて
ゆらゆらゆらゆら、沢山の餌が僕の目の前に吊るされている
僕をひどく惑わし、僕をもっと夢中にさせる思わせぶりな君
その気は微塵にも無いくせに、僕の毒されかけた心を浸食し続ける
これ以上、この子に隙を見せてはいけない
必ず、一発でやられる
油断大敵、立派なスローガンを掲げていたのに
恋心が生まれた時点で、結局、もう手遅れだった
ちゅう、…ちゅ、…ちゅっちゅっ…、
「…テツ、ヤ、…ぁ、…ダメだ…んっ、…こんなの、…やめろ……やめてくれ…」
部活の帰り道、テツヤを送り届けた僕
『よかったら、あがってください、おれいにおちゃでもどうですか?』
清廉なテツヤの匂いに誘われて、足を踏み入れた密室
自身の制御不能な高鳴る心臓の音に気を取られていれば、急に押し倒された白いベッドの上
ほどかれたネクタイ、はずされたボタン、ひらかれたカッターシャツ
何が起こったのか、理解し切れなくて、抵抗する気力が湧かずに
始まったのは、願ったり叶ったり、息つく間もない愛撫
魅惑的な赤い唇が、僕の肌へ扇情的に触れて、僕の純真な恋心を試す
危険な罠だと解っているのに、散りばめられた赤い印を本気で拒絶出来ない
熱くなるカラダ、奥に眠り鎮めていた本能がゾクゾクと疼き出す
ダメだダメだダメだ、このままではこの悪魔の思うツボだ
抗わなければ、抗わなければ、
「…赤司くん、……どうして、僕の精一杯の想いを拒んで…触れてくれないのですか?…僕はこんなにも、赤司くんを求めているのに……ひどい、です」
ギュウッ…と健気に縋られて抱きしめられて拘束されたら、
電光石火、衝動は一瞬
「…テツヤッ……!!」
喰らいつかない、わけがなかった
真っ白になった発情犬以下の頭
これまで必死に抑えてきた欲情の決壊
僕は天にも昇る想いで天使を貪り尽くし、
「…ふぅん…赤司くんって、こんなものなんですね……正直、興醒めです」
悪魔の微笑みで、海の底へ沈没したんだ
どぷんっ、ごぽごぽごぽ…、
最初から、解っていたこと
僕はテツヤにとって、一匹のサカナに過ぎない
釣れてしまったら、お遊びは終わり
食べられた肉体は消化され、
遺った骨は、海の底へ棄てられる
ただひたすらまっすぐに、海の中を泳いでおけば良かった
潮水が滲んだ瞳、いたわるように瞑れば、哀しみに沈む瞼にキスがひとつ、
「…まぁ、なかなか愉しかったですよ?……偉ぶった赤い金目鯛が釣れていく様は」
ほら、やっぱり、君は、悪魔だ
どこまでも僕を傷つけて、
「…でも、僕はちゃんと、好きでしたよ……意外にウブな可愛い赤司くんをね」
にっこり、僕の心を釣り糸で絡め続ける、僕の愛するカワイイ悪魔
哀れな惑溺サカナ、
悪魔の釣り針離せずに