“テツヤは、僕のものだ”



呪文のように囁かれる、毎日毎日、生きている限り、ずうっと、ずうっと、ずうっと。誰にも必要とされない僕を、唯一繋ぎ留めてくれる、赤司くんの言霊。それが、だんだんと、生き地獄の鎖になったのは、何故なのだろう??

「……テツヤ、ほら、口を開けて…せめて、水分は摂らないといけないよ」

ぼんやり、焦点が合わない、湿った薄暗い世界には、時間という概念が消されている。口を開けるのすら面倒だ、頭の片隅でそんな風に思っても、飼い慣らされたこのカラダは反射的に赤い少年の命令に従ってしまう。彼に口移しで流し込まれた何の変哲もない水が、僕の神経を麻痺させる水銀のように思えてならないのは、

「……ん、…いい子だね……僕の、僕だけの、かわいいかわいいテツヤ」

僕を愛おしげに見つめる唯一の人間が、ただの狂った悪魔だからなのですね

「一生、手離さないよ、たとえ死んでも、地獄まで一緒だ」

生きられない・死ねない、
ならば、すぐさま消えたい
ぼくの願いごと
きっと叶わない
この世界に、

「さて、テツヤ……次は、僕の食事の時間だ…たっぷり、味合わせておくれ」

優しい神様なんて、存在しないのだから





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