おわりの音だけが響く空間で死んだように生きながらえている






ガチャリ、バタン、ペタペタ…
シーン…、と静まりかえった殺風景な部屋には、霊安室のような冷たさしか感じられない
更なる強さを求めて洛山高校を選び、東京から京都へ移り住んでから、約半年の月日が経とうとしている
よく辛い出来事が在った際に、“時間が解決する”と慰められる事があるが、必ずしもそうとは限らない
時計の針が時を刻む度に、嫌に鈍く軋むのは、僕の虚勢をはった心
テツヤが僕の元から去った時、冷静に振舞った裏側では憎しみと怒りと悲しみで逆上していた
テツヤを救った僕から離れるなんて、赦せない
本音を隠したのは、影の薄いひとりの人間へ異常なまでに執着する自分の弱さを、認めたくなかった為
今思えば、取るに足らないくだらない理由で、こんな事態を引き起こしてしまったと後悔している
あの別れの瞬間で、すべてが終了したのだと、当初は思っていた
傷ついて震えていたか細い手を優しく引き留めたい気持ちを完璧に押し殺した、
つもりでいた、まだ死んでいないんだ、息を吹き返して、深海で酸素を求めるように、あの子を欲している
もし、テツヤがこの部屋にいたのならば、
お揃いの食器で僕の作った朝食を食べて、ベランダで一緒に洗濯物を干して、ひとつのベッドで共に夜を越えて
朝目覚めても、恋しい人間がそばにいない孤独感へ絶望することなく、清々しい新たな一日を始められるんだね


“あかしくん、あかしくん、だいすきです”


あぁ、テツヤがいれば、テツヤさえ、僕のそばにいてくれたら、


“……あかしくん、いままで、…ありがとうございました……さようなら”


それだけで、しあわせだったのに、もうおそい


悔やんで、悔やんで、悔やみ続けて、今日も静かに、ひとりぼっちで黙祷・失望





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