自分は人を掌で弄ぶ人間であると、信じて疑わなかった頃。きっと僕は、自分しか興味がなく自分しか信じられず自分しか愛せない、何ともつまらない人間だっただろう。この世界におけるすべてのことに勝利し、自分の立場や面目さえ保てればいい。僕の完璧無比な強さが僕を守る。そうして、弱さなど微塵たりとも持ち合わせずに、ひとり生きて行くものだと思っていたのに、


「こんなはずじゃ、なかったんだけどね…自分の弱みを作るつもりなんて、サラサラなかったのになぁ…全く、テツヤには参ったよ」

「そうですか、それはそれは恐れ入ります」

「淡白だな。この僕がお前だけには降伏しているんだぞ?…もっと、他に、何か、あるだろ…?」

「はぁ…そうですねぇ…僕はキミから勝手に惚れられただけですし」

「ひどい」


   一種の事故、初めて恋に落とされて、惚れた弱みという言葉を思い知る




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