四月、中学に入学した日、普段何事にも動じない俺が驚いたこと
生まれて初めて、未知の生物、透明人間に会ったんだ
透き通って、空気に同化したような、不思議な子
自分の目を疑って、パチパチとまばたきをした時には、もうそこには何もいなくてもぬけの殻
逃げられた、妙に悔しい思いをした春の日
それからというもの、僕はあの子を捕獲しようと躍起になっている
知らないものは知りたい、元来生まれ持った好奇心や探究心
ただ、それだけではこんなにワクワクドキドキ、胸が高鳴らないはずだ
理由は、なんとなく分かっているけれど、ちゃんとあの子を見つけるまで知らないフリをしていたい
さあ、今日も勝負だ
あっ、いた!
瞬間的、パッと瞳に捉えたかと思えば、パッとすぐに消えてしまう
残像を目印に追跡するも、中々足取りは掴めず
直感、次はそこか、その次はあそこか、はたまたあっちか
僕の運が良ければ、
「なに笑ってるんだ、黒子テツヤ」
見つけたいものを見つけられる
「必死なんですね、赤司征十郎くん」