ぼくらは、まるで、ちがう

ちがうからこそ、ささいなおなじがうれしくて、たまらない


図書室で同じ本を手に取ろうとした瞬間

朝練で同じ時間に体育館へ足を踏み入れる瞬間

学校の玄関で同時に傘を開く瞬間

大した事はない、ほんの少しの大きな喜び

そう、タイミングは、大事だ


雨の中、急に立ち止まった赤司くんはこちらを見つめる

時が止まったかのよう、雨粒が降り注ぐ世界から、ふたりだけ切り取られて

何を考えてる?僕を見つめて、僕の何を見つめて、何を思っている?


「ねぇわかってるよね、僕が共有したいのは、テツヤだけだよ」


ぼくのくちびるへ、きっとふれるんだ、かれのくちびる

偶然だけではない、故意に基づいた偶然の事象

同じが欲しいよね、僕だってそうです、君のこと君と同じように、求めてる


「いっしょじゃなきゃ、いっしょにならないよ」


ほら、やっぱり、きみは、ぼくをためしている


「いっしょですよ、きみにふれたい」


やさしい雨音に隠された、恋の始まりの音





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