てくてくてくてく、そばにいたくて、ひたすら、ついていく。まるで、親鳥と雛鳥のようだと、眼鏡をかけた友人は溜息をつきながら喩えてくれた。なるほど、たしかに、僕にとって彼は第二の母とも言って良い存在です。六人目としてチームから必要とされる新しい僕を産んでくれたのは、他ならぬ赤司くんでした。生まれて初めて目にしたものを、母親だと認識する雛鳥。この人だ、と思ったのは、僕の母親という意味なのかそうでないのか、よく分からないけれど。ただ、出会った瞬間、今まで感じた事のない胸の高鳴りを教えてくれたのは、赤司くんだった。彼のそばにいると、ドキドキして落ち着かないのに不思議と心地良くて、どうしても彼のそばから離れたくないのです。少しでも離れ離れになると、心の中が沈黙してしまい、何故かとても悲しくなる。僕を見つけなくてもいいから、そばにいさせて。彼は僕を必要以上気にかけない。ついてくる僕へ振り返ることは殆どしない。一方的で辛くないの?と、僕によく構ってくれる犬のような友人は心配してくれるけれど、辛いと感じたことはありません。赤司くんのそばにいれば、たとえ言葉を交わさなくても、僕はとてもとても幸せな気持ちになるのです。だから今日も僕は、てくてくてくてく、凛として美しい背中をひたすら追っています。


てくてくてくてくてく、


それにね、彼の背中は、無言で語ってくれますから、安心してついていけるんですよ?


“これからも、ずっと、ぼくに、ついてきて”


はい、もちろんです、おかあさん!



口下手な親鳥が不憫なのだよ、

微笑ましい日常の風景へ、傍観者の憐れみの言葉がポツリと転がった






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テーマ「人外ファンタジー」
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