ちょっとした出来心だから、お願い許して






すごく甘そうな黒ちん

赤ちんの好きな黒ちん

すごく美味しそうな黒ちん

赤ちんの大切な黒ちん



食欲って、止めようがないよ

どうしても、ちょこっとだけ、口にしてみたかったんだもん

可愛らしい小さな赤い唇

なんとなく、サクランボに見えて、優しく食んだ

あ、やわらかくて、あまくて、きもちいい

もっと、食べたい

だけど、もう、それで、強制的にごちそうさま

まさか、泣かれるなんて、あの黒ちんが泣くなんて、俺にキスされてボロボロ泣くなんて、俺も泣いちゃいそう


「ごめん、黒ちん、どうしても黒ちん食べたくなって、つまみ食いしてごめん許してお願い、嫌わないで泣かないで、」


泣き止んで欲しくてちっちゃな黒ちんをやさしく包んだけれど、まばらに涙が落ちる俺を包んでくれる手はどこにもない


包んで欲しい手は、既にあの赤色に染められて、紫色に触れたくも無い




『……赤司くんのキスって、優しいですよね…意外に』

『…僕はいつも優しいつもりだが……好きな子限定でね』

『……ふふっ、ありがとうございます…なんだか、他のみんなに悪い気もしますが』

『…特別だから、当たり前だろう…テツヤへの優しさしか、生憎僕は持ち合わせていないんだ』

『……もう一度、してくれませんか…赤司くんの優しさが、欲しいです』

『…いいよ、テツヤになら、何度だって、優しくするから…』


いつか見た赤と黒の少年のくちづけは、甘い笑顔が溢れていたのに




俺がキスしたって、黒ちんは、苦くて塩辛い涙しか、溢れないんだ



後味は最悪、そんな恋になれない未熟な恋を、どうやって口直せば良いの?



ねぇ、黒ちん、たすけて、おねがい、



「、すき」



ほんとはね、ずっとずっと、すきだったんだよ、黒ちんのことだけを








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