僕は未だ敗北を知らない。それと同時に後悔をした事がない。勝利を掴む事は僕の選択全てが正しかったと証明出来る。僕は間違えてなんかいない。僕が後悔を知らないのは、勝利だけを知っている自分の判断が絶対的に正しいと確信しているからだ。これからもずっと、僕が見定めた道を、真っ直ぐ進んでいけば、


「赤司くん……君は、…貴方はそうやって、大切な敗北も間違いも知らずに、…何ひとつ後悔せず、ひとりで生きていくんですね……僕なんか、貴方の道端の石ころでしかない……花のように目に留まる訳でも無い、水溜りのように邪魔になる訳でも無い…無意味な存在…知らずに蹴られて、転がり落ちる……貴方とは、ここで終わりですね」


良かったのだろうか?この瞬間に迷いが生まれる。テツヤが死んだように笑って僕の元から去っていったこの時に、ピシリと道に亀裂が入った。一歩も動けない、目の前の空間が歪んで脚が震えて喉の奥が締め付けられて心臓が痛い。こんなの知らない、これは何?待って、行かないで、教えて、


「さよなら」


テツヤ、もう愛しい名前すら呼べない






[] []





人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -