そうして時は過ぎ、今現在、僕は高校1年生、征くんは中学2年生

帝光高校と帝光中学にそれぞれ通っていますが、中高一貫校なので同じバスケ部で一緒の練習をしています

あの頃はいつもふたりで過ごしていましたが、近頃はそんな僕達の時間は大きく変わってしまいました

僕は、昔からずっと周囲の人々から忘れられ易く、極端に影の薄い人間でしたが、

中学へ入学してからというもの、僕におかしなちょっかいをかけてくる人々が増えたんです

彼らは同じバスケ部に所属するチームメイトですが、如何せんキャラが濃厚過ぎて相手をするのが大変だったりします

しかも、出逢ってから現在にかけて僕にベッタリな征くんが、彼らとの邂逅を機に、とてもバイオレンスな進化を遂げてきたのですから、僕は気が気でない

そう、今も、まさに、危ない状況です



「黄瀬涼太、僕のテツヤ兄さんに気安く触るな、この世から抹殺するぞ」


部活中にも関わらず、隙あればワンワンキャンキャン抱き付いてくる黄瀬くんには、ほとほと困っています

スキンシップが尋常ではない位多くてしかも密着度が激しいので、僕自身も多少の嫌悪感が募り、我慢ならない時は制裁を加えますが…

それよりも先に静かに怒り狂う征くんが助けに来ます

ただ、その助け方が、犯罪に近くて、お兄さんは心配です

後ろから僕に抱きついている黄瀬くんを、瞳孔が開きまくった恐ろしい視線だけで射し殺すには飽き足りず、切れ味抜群の鋏という凶器を手にして溢れんばかりの殺意を向けています

いつでも黄瀬くんを殺りそうな気迫が、体育館の中に充満しています、みんな震えまくっていますよ


「ひっ……!!く…黒子っちぃぃいいい…!!コワイッ!助けてっ!大好き!死にたくないっ!」


ギュッ!余計に僕に対しての圧迫感が強まりました。黄瀬くんはやっぱり馬鹿なのでしょうか。その行動が征くんを余計に、


「おい駄犬、兄さんから離れろと言ってるのが解らないのか。より一層強く抱き締めるその腕諸共串刺しにしてやろうか」


激高させる事を、いい加減解って下さい、お願いします


「きゃあああっ!!黒子っちぃいいい…!!!殺されるぅっ…!!」

「黄瀬くん、落ち着いて下さい、そして今すぐ僕から離れて下さい。それだけで、君の命は一時的には助かりますから」


僕は騒ぎ出す彼を宥めながら、冷静に彼へ助言をしました…が、


「えぇっ〜!…で、でも……俺……黒子っちが好き過ぎるっス!!」


ギュウギュウ、何故か、悪化する密着度


「え、あの、日本語通じてますか?犬語かつ駄犬訛りの言葉でないと、お馬鹿な駄犬の黄瀬くんは理解出来ないのでしょうか?」

「黒子っちヒドいっス!でも、好きぃっ…!!」


あああ…もう駄目ですね、いや、彼にしてはよく我慢したとは思います。もう僕は、知りません。聞き分けの無い駄犬が悪いのですから


「………どうやら、即座に此の世から消した方がいい……クズ犬のようだね……黄瀬涼太、




覚悟しろ」





キャアアアア黒子っちぃぃいいい……!!!

甲高い断末魔が鼓膜に響きながらも、僕は目を背けて手を合わせました……

征くんは、時々、こんな風に凶暴化します、どうしてでしょう?


「兄さん…もう、大丈夫だからね…」


鋏をギラつかせ返り血を浴びながら満足そうに微笑む赤の少年は、ただの兄想いのかわいらしい弟なのに






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