ズキン、ズキン、ズキン、心臓の拍動に痛みを伴うのは、何故だろう

僕のテツヤ兄さんに対する“愛”=異常

黄瀬涼太が判断し指摘してきた、僕のテツヤ兄さんに対する想いの質

他人の目から判断され、他人の口から指摘されたく、無かった

他人から、どう見られようと、どう言われようと、どうでもいいと思っていたのに

無関係な他人以上に、当の本人がヒシヒシと感じているのかもしれない

僕の常軌を逸した“愛情”を向けられている、黒子テツヤは、もしかしたら、僕を、


“オカシイ”“キモチワルイ”“キライ”


ゾッとして、背筋が凍る

想像しただけで、心臓が破裂しそうだ

どうしようもない不安に押し潰されそうになるけれど

テツヤ兄さんは、僕を“弟”として大切に想ってくれているのを、これまでの人生の中で教えて貰ったから

一抹の恐怖心は、簡単には拭えないけれど、僕はテツヤ兄さんの海のように広く深く優しい心を信じずにはいられないんだ





黄瀬涼太が去り、ふたりきりになったロッカールーム

バッシュの紐をキツくキツく、容易に解けてしまわぬよう、力強く結ぶ兄さんの姿

足元から顔を上げたテツヤ兄さんの顔に、弱々しさは見受けられなかった

先程と打って変わって精悍な顔つきになった“兄”は、僕が一生をかけて守るべき人

テツヤ兄さんが“兄弟”という潔白な道を選ぶなら、僕もそれに従い連れ添っていくまでだ

僕の世界の中心は、黒子テツヤに他ならないのだから


『テツヤ兄さん、行こうか』


貴方が望む、平穏無事な世界の果てへ







触れた指先から、僕が抑制する反逆の熱情が、伝わりませんように





黒子テツヤの心を守れば、赤司征十郎の心も守れる

そう、勘違いして、自分の心を絞め殺していた事が、大きな間違いになると気付くのは、



後悔のあとに、なるなんて、



僕は自分という“異常”な人間を、何にも解っちゃいなかったんだ






傷付いた分だけ、傷付けたくなるのは、汚れた人間の性なのかもしれない






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