*【空模様】の高智なおさまから頂いた赤司征十郎誕生日記念フリー小説









一年の内で何か変わるかと言われても自分にとって特に変化の無い日だったりする。

でも、小太郎と玲央に渡された小包みをWC中ではあるが一度実家に帰った後自室で手を伸ばす。


『一人の時に開けてね!』


その場で開けても良かったが二人にそう言われれば、自分の部屋に着いてから開けるしかない。
中から出てきたのは、淡い水色のマフラー。


何で水色なんだ?とか、これ女物じゃないか?とかとか


…とまあ、色々疑問はあるけど、問い詰めるのは明日にしようと袋に戻していると、来客を知らせる呼び鈴が鳴り響いた。


「…大輝、に涼太?何しに、と言いたいがまず、その人一人分位でかい包装紙は何だ」
「お前の部屋に置いてくるから入るぜ」
「あ!説明は俺からするっス!」


出迎えれば、挨拶もそこそこに勝手に上がり込み部屋に消えていく大輝を見送り残された涼太を見やる。


「良い度胸だな…二人共」
「すんませんっス!…でも、赤司っち、誕生日おめでと!あれは俺らからのプレゼントっスよ?」
「“俺等”?」
「俺と青峰っちと緑間っちと黒子っち!」
「中身は何だ」
「それ言ったら面白くないっスから内緒!部屋でゆっくり堪能して欲しいっス!」

「置いてきたから帰んぞ、存分に堪能しろよ赤司」
「?」


いまいち言いたい事が解らない。堪能、と言うからには食品系なんだろうか?



部屋に戻ればベッドの上に置かれた例の物。
生ものだったらどうしようかと思いながら、結び目を解いていく。
姿を現したプレゼントにらしくもなく固まった。
生もの、といえば生もの。

でも、誰が想像出来ただろう。プレゼントに人が贈られるなんて…


赤いリボンが首元に結ばれたテツヤが気を失った状態で出てきたのだ。









「…テツヤ?」
「ん…あ、おはようございま、す?え?あれ?」


揺さ振り起こせばむにむに目を擦りながら、返事を返す黒子。
しかし、置かれた状況に本人もいまいち把握出来ず混乱している。
無言で僕は携帯を手に取りボタンを押した。


「…おい、これはどういう事だ」
『?何がだ?…誕生日企画を立てたのは青峰と黄瀬なのだよ、赤いリボンはお前の今日のラッキーアイテムで用意したのは俺だが、その後の事は知らないが?』
「テツヤがそのリボンで巻かれて贈られて来たんだが」
『…馬鹿なのだよ、大方悪ふざけのつもりだろう』
「そうか、後で制裁を食らわすことにするよ」


通話相手を真太郎にしたのは、どうせあの二人にかけても電話を取らない気がしたからだ。
ぱくんと携帯を閉じて未だ混乱の最中にいるテツヤに近づく。
まあ、普通の反応だろう。

目が覚めたら元キャプテンの部屋で、リボンで自分が装飾されているとなれば、驚かない方がおかしい。


「経緯は覚えて無いのか?」
「…えっと、青峰君達に赤司君の誕生日プレゼントを一緒に用意しようって言われて、彼の家で出されたココアを飲んでからの記憶がないですね」
「睡眠薬を盛られたんだな」
「殴って良いですよね」
「許可しよう、と言いたいがそんな事をして手首を痛めたら駄目だから、別のやり方にしよう」
「…赤司君には案があるのですか?」

「紅茶は嫌いか?」
「好きですけど…」
「話はその時にでもしようか」
「はい」


「…テツヤ」

パシャッ

「え?なにしてるんですか」
「うん、うまく撮れてる」
「恥ずかしいんですけど?」
「いいじゃないか、プレゼントなんだから」


水色に赤い色、そしてきょとんとこちらを見上げる黒子の姿は思いの外可愛く、綺麗に撮れた事に満足する。
テツヤはいささか不満顔だが、睨んでも怖くは無い。

すぐに外された、ベッドに落ちていくリボンを見て少しもったいない気持ちになりながら、言った通りお茶の準備をしていく。



なんでもない日ではあるし、ただ歳を取る日でもあるという認識はそのままだけど、こういう事があるなら少し位楽しみにしていい気分になった。






*おまけ*


「ああ、大輝に涼太存分に堪能させてもらったよ、ありがとう」

「「え?」」
「まさかあんな事までされるなんて思いませんでした」
「え?く、黒子っち?」
「え〜?ごちそうさまー?」
「ご馳走様だな、美味しかったよテツヤ」
「赤司君に喜んでいただけたなら良としましょう」




「テツぅぅぅ!!??」
「黒子っちぃぃぃ!!」




end



*感想とお礼

はわわわ…なんでしょう、この気持ち……緩やかに甘くて穏やかな幸せが心に広がりますね。なんてことない自分の誕生日が友人想いのかつての仲間のプレゼントで、大好きな黒子くん(赤リボンつき)で、特別な意味合いをなす赤司くんの心情がじんわり伝わってきて、読んだ私自身まで共感して…う〜ん、好きな人が贈られる誕生日、素敵ですね(o^^o)こういうふんわりした小説を書ける高智さま…私にその能力をちょっと分けて欲しいです。なんというか、人柄が出ている気がしてならない…私はまず、自分の苛烈な性格を改めなければならないな、うん。とにもかくにも、ほんのり甘々赤司さまお誕生日小説をありがとうございました!!


2012.12.29 二二子





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