見つけた、いや、見つけてしまった
見つけなきゃ、良かった
彼を見た瞬間、冷たい心臓は、痺れて、灼かれて、死んだ
自分が、自分で無くなる、恐怖を、初めて知る赤司
カラダが硬直している、ヒトミは硬直したままずっと彼に向いている
あんなに馬鹿にした形容が、こんなに的確だったと、思い知るなんて
白く透き通る肌に小柄で華奢な身体、纏う空気は穏やかで清らか、丸まって可愛らしく眠る姿は、“天使”そのもの
透明感の中に硬質な意志の強さが感じ取られるのに、やわらかな慈愛の心が漂うのは、錯覚に過ぎないのだろうか
あのふたりが、こんな“幼なじみ”の存在を隠しておきたい気持ちが、痛い程解ってしまう
見つけてしまった、世界にひとつだけの“ダイヤモンド”は、誰にも渡したくないのだから
年老いた東雲が息を引き取る間際に、忘れ形見の自分へ言い遺した言葉が、蘇る
『…征十郎様に……いつか、…自分の世界が変わるような…愛しい人が…現れることを、…私は、心から願っております…』
どうしよう、どうしようもなく、一目で、この“黒子テツヤ”が愛おしいんだ、“運命”だなんて感じてしまう、そんな可笑しな自分を信じきれないし、そんな風に突然変異した自分が怖くてたまらないけれど、新しい心臓はとてもあたたかくて心地よい、初めて生まれた“愛”の情が急激に込み上げて涙が出そうなんだよ、どうすればいいんだ、教えてくれ、東雲