幼い頃から、サンタなんて信じちゃいない、現実的な子どもだった僕
だけれど、サンタのように、願ってやまなかったプレゼントをしてくれる、心優しい人間がいるのですね
そう、まだ信じられない、夢のような心持ちで、ふたりをぼんやり見つめていると、
「………!!……、……、…!」
ジタバタ、ドカッ、
「…わわわ…いたっ、…もう、赤ちんたら、いくら大好きな黒ちんに会えて嬉しいからって、そんなに激しく暴れないでよ〜」
「…あの、紫原くん…赤司くん、どう見ても、怒り狂ってますけど……」
サンタさんに俵担ぎされたプレゼントは、顔を真っ赤にして、額には青筋を立てて、拘束された身体を力の限り動かして反抗しています
きっと、何かしらの思いつきで馬鹿力をフル活用した紫原くんが、僕に会うのを嫌がる暴君・赤司くんをひっ捉えてきたのでしょう
「黒ちんの家に来るまでの道のりも、散々喜んで大変だったんだよ〜」
「……!!……、…………!!!」
「そ、そうですか…お疲れさまです……」
飄々と赤司くんの叫びとは異なる思いを代弁する紫原くんに、思わず苦笑してしまう
どうして、紫原くんが僕の元へ赤司くんを無理矢理連れてきたかは、よく解らない
それに、願っていた人物だとて、多少なりとも因縁の深い赤司くんへの気まずさは、否めない
色々複雑だけれど、
「やっぱり、赤ちんには、黒ちんが、そばに必要なんだよ…あ、それは、お互いさま、かな〜…黒ちんも必要でしょ?赤ちんを」
「え、」
「もう、ふたりは、ぜったいに、はなれちゃダメだからね」
「あの、」
「俺、泣いちゃうから、今度こそ、ふたりがいっしょじゃなきゃ」
「まっ、」
「黒ちんと赤ちんは俺の大事な第二の両親だからね〜」
「むら、」
「じゃあ、ふたりとも、おしあわせに〜」
ドサリ、バタン、シーン
心優しきサンタさんが置いて行ったプレゼントを大切にしたい、それだけは心の中で揺らがなかった