そんな事をごちゃごちゃ考えながら、母さんが作り置きしてくれていた料理を温めて、夕食をひとり黙々と食べる
僕の両親達は年甲斐もなく、毎日新婚さん気分な夫婦である為、特別な今日という日は特別な者同士、ふたりでクリスマス旅行をしていた
いつでもどこでもどんなときも、お互いがお互いへ、素直に愛を伝えるふたり
いつもは呆れた目で彼らを見ていたのに、今日は何故だかそんなふたりが無性に羨ましかった
ひとりぼっち、思い知らされるのは、
いつかの想い人のそばにいられる幸せ
いまの想い人のそばにいられない不幸せ
、さみしい、珍しくそう感じて
スープを掬っていたスプーンが、カチャリと止まる
さみしくない、さみしくない、さみしくない
さみしくない呪文を唱えても、さみしさは増悪するばかりで、しようがない
昨日、黄や青や緑の色をした友人達から24日は一緒に遊ばないかと誘われたけれど、用事があると嘘をついて断った
今日という特別な日、他の誰かでさみしさを紛らわせても、結局虚しくなるだけと解っているから
過去の仲間である彼らと共に過ごせば、自ずと他の色も思い出してしまい、心が苦しくなるのだから
大丈夫、今日のさみしさを越えれば、明日は今の僕の大切な仲間達、誠凛のみんなとのクリスマスパーティが待っている
大丈夫、大丈夫だ、今を大事にしよう
過去に囚われて、生きたくない、もう、生きたくないんだ
ぽたり、
そう、解っているのに、
誰に、そばにいて欲しいか、と訊かれたら、
もし、この世に存在するはずもない、サンタさんへ、欲しいプレゼントを願うなら、
「……あか、し…くん……」
過去も現在も未来さえも、僕の心を囚えて離さない、貴方だけしか、思いつかない
ぽろぽろぽろ、素直な涙が、降り出した