そうして、彼のそばから離れてからは、彼をはじめとするキセキ達を何としてでも打ち負かして目を覚ましてやろうと、心に誓って生きてきた
黄色、緑色、青色、紫色、様々なかつての仲間達を、新しいチームで一丸となり死力を尽くしながら戦って、
やっと、頂きのすぐ目の前まで、登り詰めたんだ
あの時と同じ、憎しみと歪んだ勝利に彩られた、二色の瞳が、僕を見つめている
絶対に、負けたくない
あの日のかなしみを糧にして、この日のよろこびに変えてみせる
君のそばから離れて、協力という心を知る新しい仲間と共に戦い続けた
そのおかげで、だんだんと取り戻してきた純粋な気持ちを無駄にはしない
“君に、必ず、勝ちます”
そう、瞳で宣言すれば、どこか懐かしいやわらかい笑みの赤司くんがいた
少し、動揺したけれど、忘れてはならない因縁を思い出して、集中力を高める
ここで、決着をつけましょう、どちらが、裏切り者、か
袂を分かち、お互いが別々の仲間を得て、お互いが別々の信念を心に秘めて、全身全霊でぶつかったあの日
ぽろり、
初めて、僕は、君の涙を見る
やっとの思いで、僕が手にした勝利は、彼が初めて手離したアイデンティティだった
彼という絶対的勝利者が崩壊したのは、彼の瞳を掻い潜った僕の渾身のパスを、相棒である火神くんがブザービートと共にリングに叩きつけた瞬間
一点差、紙一重の攻防、ただその違いで、天国と地獄、勝者と敗者が決められてしまう
会場全てが水を打ったような静寂に包まれたのも束の間、すぐさま割れんばかりの拍手と凄まじい歓声に変わり、僕の仲間達は逆転勝利の喜びに湧いていた
勝った、勝った、やっと、彼に、勝てた
嬉しい、嬉しい、嬉しい、
うれしい、はずなのに、どうして、
『……ぼくは、…ぼくは……、負けた…の、か?…よりによって、…テツヤ、に……ふ、ふ…っ、…あは、は……もう、ダメだ……おわり、だ……すべてが、むいみ……バスケ、なんて、……もう、…しない……あの日から、テツヤの為に…ぼくは、…かちつづけて……テツヤ…を、…とりもどし、…っ、う…ああああああぁぁっ…!!!』
かなしい、あかしくんのなみだが、かなしくて、たまらないんだ