わらえない、もうわらえないよ、テツヤ



それでも、わかってしまったことが、確かにひとつある。それは、自己中心的な僕の恋を祝福してくれた優し過ぎる友人達は、きっと、その笑顔の裏で、本当は、


「赤司くん…!」
「えっ……ぁ、…テツヤ…ぼく、」
「…どうしたんですか…?赤司くんを探して中庭へ来てみたら…ベンチに座ってボウッと空を見つめて…涙を流していたから…ビックリしました…」
「……、……ごめん、」
「……なにが、ごめん、なんですか?」
「…あ…いや、…テツヤを…探させて、…驚かせて…」
「本当に、それが謝った理由ですか?それ以前に、本当に謝った相手は僕なんですか?」
「……それは、」
「………赤司くん。僕も、同罪です」
「…え?」
「いえ、むしろ、僕の罪が重いです……君しか見えていなかった僕は、赤司くんを好きで好きでしようがなくて…何も知らないまま、大切な人達の気持ちを踏み躙ってきました。君と両想いになれて嬉しくてたまらなくて、笑って笑って過ごしていました。…君の苦悩も彼らの悲しみも知らずに。…でも、大好きな赤司くんと一緒にいて…だんだんと心が満たされて、幸せになったら……見えてきたことが沢山ありました。自分の恋だけで必死だったあの頃とは違って…自分の心に余裕が生まれた僕は、君や彼らの心情を汲み取る事が出来てきたんです…。赤司くんも、みんなも、僕に優し過ぎます…どうしてこんなに、僕の心を守ろうとしてくれるんですか…?僕の幸せの為に自分の心を犠牲にしなくていいのに…。僕だけ幸せになってはいけない…実は、そんな風に思い悩んだ時もあったんです…。でも、僕は君との幸せを手放したくない。どうしても自分の心に嘘なんてつけません…君を愛さずにはいられないから。僕の手がひとりだけ幸せに出来るとしたら…僕の手で幸せにしたいのは君です…赤司くんなんです…。彼らの気持ちには応えられないことは申し訳ないし、非常に心が痛みますが…みんなの想いを、僕の罪を、忘れず胸に抱いて…君の幸せの為に、全身全霊の愛を捧げます…。ねぇ、赤司くん…一生かけて僕と共に、罪を償ってくれませんか…?」


どうしてお前は、僕をこんなにもひどく泣かせてしまうのだろう。最低な僕と共に罪を被ってくれる、優し過ぎるお前の逆プロポーズで、声をあげて泣いたのは、この世に生まれて二度目のこと。僕らふたりのひとつだけの世界で、お互いしか縋れるモノはない。


“くるしいね、つらいね、かなしいね、でもきみをあいしてしまったんだ”


ふたりで強く強く抱き締め合って、ボロボロボロボロ、泣いた泣いた。身体の水分がカラカラになるまで泣き喚いたら、あとはもう笑うしかなかった。ふたりで睫毛の葉っぱについた水滴を掬い合って、大雨のあとの太陽のように、笑った。



「お前の笑顔も涙も罪も愛も何もかも全て、僕が包んで共に生きていく…心から誓うよ、テツヤ」



いつかの青空の下、白い教会からふたりで永遠の一歩を踏み出した時

大切な仲間達からの“おめでとう”の笑顔へ、心から“ありがとう”の笑顔を向けられるように

僕らふたりは、愛することをやめない




“ふたりいっしょにわらっていきよう”





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