想いが通じ合った中学生の頃に決めていた
大学生になったら、絶対にふたり暮らしをすると
「ふつつか者ですが、これからよろしくお願いします…赤司くん」
小さなアパートの一室、六畳半の部屋で黒子テツヤは三つ指をついて礼儀正しく挨拶をする
「ふふ…まるで嫁入りだね」
その姿を喜色を浮かべて微笑む赤司征十郎の瞳は、大事な壊れものを包むように優しい
「…僕は、そのつもりですけど…」
まるで、という表現が気に障ったのだろうか、テツヤは少し不貞腐れたように、小さな声で自分の意志を呟けば、
「…ごめん…ほんとは、僕だって、そのつもりだよ…」
征十郎は眉を下げながら苦笑して、畳を見つめたままのテツヤの頭を宥めるようにゆったり撫でる
「赤司くんの、意地悪……でも、好き」
「…テツヤは、ほんとに、可愛いな…僕の方が、好きだよ」
そうすれば、空色の猫の機嫌はなおり素直な告白がこぼれ、赤色の猫も素直な愛しさが溢れ出す
どんどん、ふたりの想いで、いっぱいになっていく、橙色の光が射し込む古びた狭い部屋の中
「やっと、ここまでこれました…やっと、ふたりきり、ですね」
「あぁ…ここまで、長かったな…これからは、ずっと、いっしょだ…」
永遠を誓うように交わしたキスから、征十郎とテツヤのふたり暮らしが始まったのだった