赤司征十郎は、何事においても自分は正しいと勘違いしていた。勉強・運動、あらゆる場面で敗北を喫した事のない、ある意味での経験不足がとある不幸を招いくとも知らずに生きてきた。そんな赤司がとある初体験をする事になったのはつい先日の事。初めて心に感じた心臓の甘い高鳴り、それが“好き”というものだと判断するまでは良かった。問題はそれからだったのである。


「黒子…お前に訊きたい事がある」
「赤司くんが僕に?…珍しいですね、一体何ですか?」
「…どうすればいいのかわからなくて…凄く困っているんだ…」
「え…赤司くんがそんなに悩むなんて…僕では役不足なんじゃ…相談相手は緑間くんの方が良いのでは?」
「ダメだ、黒子じゃなきゃ、ダメなんだ…」
「…っ、え、…あ、…わ、かりました…それで、何に悩んでいるんですか?」


赤司征十郎は人生で初めて恋をした。しかも、相手は同性、加えてその相手は目の前にいる、


「実は、黒子の事を好きなのだが、」
「え」
「両想いになるには、どうすればいいんだ」
「え、ぇ…っ、え?!」
「思い切って、キスのひとつでも、ぶちかませばいいのだろうか」
「ちょ、…ちが、…やめ、」

ぶちゅ!!

「………」「………」
「ふむ…なるほど、初めて接吻をしてみたが…これは魅惑的な行為だな。黒子の唇、柔らかくて気持ちが良い…やみつきになりそうだ」
「……赤司くん、」
「ん?どうした?おかわりか?」
「君は最低だっ!!…もう、絶交です…!!!」
「え」


赤司征十郎は、極度の恋愛音痴だったのだ。何事に関しても熟考し、正しい筋道を見つけ、慎重に事を進める完璧人間は、恋愛というステージにおいてはどこにもいない。考えても考えても、人間らしい理性を伴った判断は不可能、本能のまま行動に移してしまう。そんな間違いだらけの恋愛音痴な赤司征十郎の想いは黒子テツヤへ届くのだろうか??








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