あいしてる、晴れのち虹


まだ、太陽はみつからない

降りしきる雨の中、消えてしまった赤色を必死に探す。ビチャビチャと僕を濡らすのは、きっと彼の瞳から溢れる大粒の涙なのだろう。あの時、素直になるのがどうにも照れ臭くて、つい声を荒げて真実を否定してしまった。赤司君は真っ直ぐに僕へ確かな想いを伝えてくれたのに。僕はとんだ捻くれ者だ。本当は、嬉しかった。他人の声で再生されても、心のこもった文字の響きから彼の真摯な想いが伝わって。頑なな僕の心をトロトロと溶かす熱い告白。暴走したり駄々をこねたり甘えん坊になったり…色んな彼を知って、だんだんと、彼に絆されていた自分。もう認めざるを得ない、僕にも生まれた、確かな気持ち。まだまだ彼のモノと比べたら、同じ重さで同じ大きさではないけれど、


「…ハァ…ハァ……見つけた、あかしくん…」

「!…テツヤ、どうして……どうして、僕なんかを、追いかけて……」

「赤司君…僕は、嘘をつきました」

「…、……え?」

「さっきは、自分の恥ずかしさを隠す為に、赤司くんを傷付けて、すみませんでした…」

「…テツヤ、いいよ…もう、いいんだ…」

「は…?」

「ほんとはずっとずっと怖かった…自分だけがこんなにテツヤを好きなのに一向に報われない現実へ直面することが…だからいつも必死に喚いて甘えてお前の愛を乞いて…そうする度にテツヤの心を遠ざけることしか出来なかったけれど。僕の方こそ、すまなかった…これまでずっと、迷惑ばかりかけて。もう、諦めるから、許してくれ。今、お前を諦める覚悟をしているから…」

「なっ…いやです!やめてくださいっ!!」

「…テツヤ?」

「僕は想像以上に、赤司君の心を痛めつけていたのですね…意地っ張りを重ねて…ごめんなさい。もう、素直に、本当のことしか言いません。」

「テツヤの、本当…?」

「…ええ、僕の本当の気持ちを届けます。…赤司くん、僕はキミが好きです…キミの熱い想いを受けとめたい…キミの健気さがとても愛おしいのです」


胸の奥でひそかに誕生していた初めての心

スッポリ生み出したら、知らない感動をおぼえて、涙が出そうになった


「…テツヤ、それ、ほんとう?」

「ほんとう、ですよ」

「ほんとに、ほんとう…?」

「…ほんとに、ほんとうです…赤司君が、好きです」

「…うそ、みたい…」

「あかしくん、」

「うそみたいに、うれしい…!!テツヤ、テツヤ、テツヤ!!」

「わっ!!」


ボロンボロン、嬉し涙を流しながら僕をギュウギュウ力一杯抱き締める赤司くんの気持ちが移り、僕の瞳からもやっとこぼれだす幸せ。愛しているなんて、まだ彼のようには言えないけれど、この気持ちは赤司君とおんなじモノなんだ。言葉に出来た“好き”よりももっとあたたかい“愛している”が本当はピッタリなのかもしれない。いつか僕はその気持ちで心が満杯になって耐えきれず溢れて口からこぼれてしまうのだろう。その瞬間の彼の空を見上げるのが待ち遠しい。


いつのまにかスッキリと晴れ渡った空には、美しい七色の虹がキラキラと輝いていた。




■片恋に思い悩みゴロゴロ鼻を鳴らしていたゴロ司、やっと想いが通じてキラキラ笑顔のキラ司になりました


おしまい!



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